生態系評価
「事業を対象とした生態系の保全アセスメント」を実施
日立建機グループは2011年より「日立グループ生態系保全の手引き」に基づき、企業活動と生態系のかかわりに関する考え方や取り組み事例を社内で紹介してきました。従業員の認識をさらに深めるため、2012年より日立グループの「事業を対象とした生態系の保全アセスメント」を導入し、取り組みを評価しています。2015年度には連結対象の主要生産拠点を対象に本アセスメントの評価をすべて完了させ、ライフサイクル全体での生態系との関わりを認識、現状把握、課題を特定しました。また実施中の活動約400件のうち、63件の活動のレベルアップを確認しています。
生態系の保全活動の代表的な事例として日立建機(上海)有限公司の2005年より10年間続けてきたホルチン砂漠緑化運動が挙げられます。過放牧等の原因で破壊され砂漠化してしまった生息地の回復、衰弱な生態系の保護をめざし、中国内蒙古自治区のホルチン砂漠内で「日立建機の森」と称した10万㎡の砂漠地帯を植林、緑化に大きく貢献しました。2015年に新たに始まった次の10カ年計画では、パートナーであるディーラー26社も新たに加わり、13万㎡の砂漠地帯への植林を始めています。
日立建機グループでは本アセスメントを基に、愛知目標、その他主要ガイドライン※1などを総合的に考慮し、「生態系保全活動取組リスト」を策定しています。
日立建機グル―プではこの策定した「生態系保全活動取組リスト」を基に、活動の実施状況や目標を明確にし、更なる推進をめざしています。
※1 環境省「生物多様性民間参画ガイドライン」、JBIB「いきもの共生事業所推進ガイドライン」、JBIB「生物多様性に配慮した企業の原材料調達ガイドライン」、JBIB「いきもの共生森づくりガイドライン」など
「企業のための生態系評価(ESR)」を実施
事業別の生態系への依存・影響度を調べるためにWBCSD(持続可能な発展のための世界経済人会議)の「企業のための生態系評価(ESR)※2」を用い、建設機械の使用用途により解体作業、浚渫作業、林業など7つの事業分野に分けサプライチェーン全体で生態系への依存度、影響度を定量評価し、それを基に生態系保全の取り組みへの優先順位をつけています。
※2 ESRとは:Corporate Ecosystem Services Reviewの略。企業のための生態系サービス評価で自然から受ける恩恵を「生態系サービス」と定義した上で、森林、水、遺伝資源、などの「供給サービス」や、大気の調節、気候調整などの「調整サービス」のそれぞれの項目について、企業活動がどの様に生態系に依存し、影響しているかを知り、それによるビジネスリスクとチャンスを管理し、今後の戦略策定に繋げていくための体系的な方法論。