厳しいCO₂排出制限や国によっては手厚い補助金制度もあって、早くから電動建機の導入が進む欧州。
一方、大規模な鉱山が多いアフリカでも、鉱山機械の電動化への関心が高まっている。
ここでは日立建機製品の海外稼働事例をレポートする。
欧州・オランダ ( バッテリー駆動式ショベル)
EUが2050年までのカーボンニュートラル達成を法的義務とするなど、欧州各国はエネルギーのグリーン化を加速させている。北欧などを中心にゼロエミッション建設機械の導入に政府が補助金を出す動きもみられる。そうした補助金制度があるオランダでは、公共事業で使用する建設機械はゼロエミッションであることが推奨される。オランダ南部の街、アールストの中心部の再整備工事現場(土木、下水道、各種インフラの配管敷設)では、日立建機の8tクラスのバッテリー駆動式ショベルが導入された。
このショベルは地元の日立建機販売店であるPellen社を通じてレンタルされた。これまで25年にわたり日立建機のショベルを使用してきたオペレーターのウィル・ファン・ゲルヴェン氏は「性能と操作性はエンジン式油圧ショベルと遜色ありません」と評価する。施工を手掛けた地元の建設会社J.van Uijthoven & Zn社のオーナー、ユルゲン・ファン・ウイトホーフェン氏は「このバッテリー駆動式ショベルのおかげで公共事業に参加できます」と語った。
アフリカ・ザンビア (フル電動リジッドダンプトラック実証試験)
アフリカ南部に位置するザンビアは、古くから銅の生産が主力産業であり、現在も多くの銅鉱山が稼働している。日立建機は2024年から、ザンビア北西部に位置するカンサンシ銅・金鉱山で超大型のフル電動リジッドダンプトラックの実証試験を行い、無事完了した。現在は製品化に向けて、次なるフェーズへ進んでいる。この鉱山は露天掘りで場内は高低差もあることから、ダンプトラックの基本性能やバッテリー充放電サイクルなどを検証するのに適している。ザンビアでは、発電量の9割以上が水力発電を中心とした再生可能エネルギーが占めていることもあり、鉱山現場におけるCO₂排出量削減に期待がかかる。
パートナーと未来を協創する研究所
ZERO EMISSION EV-LAB
2024 年に開所した「ZERO EMISSION EV-LAB」は、日立建機が建設機械の電動化事業におけるビジネスモデルを実証するための施設である。お客さまや協創パートナーとともに、建設現場のカーボンニュートラル実現をめざす研究拠点としての取り組みを紹介する。
| ZERO EMISSION EV-LAB(ゼロ・エミッション・イーヴイ・ラボ) | |
| 住所 | 千葉県市川市本行徳2554-6 |
| 開設日 | 2024年5月27日 |
| 敷地面積 | 1,654㎡(500坪) |
| 設置機材及び設備 | ミニショベル、油圧ショベル、可搬式充電設備ほか |
ZERO EMISSION EV-LABがご提供するソリューション
| 充電ファシリティ |
| 電源安定供給 |
| 補償・保険 |
確実な重機資機材の稼働と充電設備利用
充電インフラ/状態監視/ 充電予約/最適充電方法
サービス体制の整備/ バッテリー性能診断
| 関係者とともに最適化した現場を構築 |
| シミュレーション |
| 電力の見える化 |
| CO2排出量(*) の 見える化 |
エネルギーマネジメントの実現手段の検証
1.お客さま現場でのCO₂排出量(*) を試算 ゼロエミッション効果を測定
*SBTi(Science Based Targets initiative)による電動製品のCO₂排出量
2.現場の充電計画
3.現場のオペレーション支援による最適な電カマネジメントの実現