日立建機株式会社(執行役社長:先崎 正文/以下、日立建機)と株式会社日立インダストリアルプロダクツ(取締役社長:奥 慎太郎/以下、日立インダストリアルプロダクツ)は、11月2日、両社が共同で推進する「南アフリカの鉱山現場におけるハイブリッドダンプトラックの実証試験事業」(以下、本事業)が、国際連合工業開発機関(UNIDO)が公募した「グローバルサウス諸国への日本からの技術移転を通じた産業協力プログラム」に採択されました。
国際連合工業開発機関(UNIDO)は、日本の経済産業省による資金拠出のもと、グローバルサウス諸国における日本企業による大型実証の実施をサポートすることにより、グローバルサウス諸国と世界における技術革新、サプライチェーンの強化、産業インフラの確立を推進するプログラム「グローバルサウス諸国への日本からの技術移転を通じた産業協力プログラム」 を実施しています。
鉱山現場では、多数の鉱山機械が稼働しており、その多くはディーゼルエンジンを動力源としています。ディーゼル燃料は鉱山操業における主要なコスト要因であり、燃料消費量の削減は長年の課題です。また、ダンプトラックによるCO₂排出は、鉱山で稼働する鉱山機械からの全排出量の50%以上*1を占める場合が多く、環境負荷の軽減が急務となっています。
*1: 2025年11月5日現在、日立建機調べ。
こうした課題に対して、本事業では、ディーゼルエンジンを動力源とする電気駆動式のリジッドダンプトラックEH4000AC-3をベースに、実証試験用のハイブリッドダンプトラックを製造します。この実証試験機には、ディーゼルエンジンで発電した電力と回生ブレーキによりバッテリーに蓄えた電力を活用して走行する日立インダストリアルプロダクツ製のACドライブシステムを搭載し、南アフリカの鉱山現場で実証試験を行います。実証試験の実施にあたり、南アフリカをはじめとするグローバルサウス諸国のサービス員に対して、ハイブリッドダンプトラックの保守・メンテナンスなどのトレーニングを行い、ノウハウの現地移転や人財育成に取り組みます。
実証試験機は、既存のEH4000AC-3と比べて燃料消費量とCO₂排出量を共に10%以上削減するため、鉱山操業におけるライフサイクルコストの低減と環境負荷の軽減に貢献します。加えて、HVO(水素化処理植物油)を使用することで、CO₂排出量は理論上最大90%*2削減される見込みであり、脱炭素化の取り組みを加速させる技術的な可能性を有しています。また、既存のダンプトラックをハイブリッドダンプトラックにレトロフィット可能としているため、鉱山会社が保有する資産を有効活用でき、持続可能な運用の実現を支援します。
*2: 2025年11月5日現在、日立建機調べ。
日立建機は、鉱山現場のネット・ゼロ・エミッションの実現に向けて、フル電動ダンプトラックの共同開発、実証試験を推進してきました。今後も、鉱山現場の安全と生産性を維持しながら環境負荷低減につながる最適なソリューションを強化していきます。
日立インダストリアルプロダクツは、インストールベースであるACドライブシステムへのバッテリー電力の活用によるサービス提供を追加することで、車体の燃費改善・CO₂排出量の低減などの環境性能向上へ貢献していきます。日立インダストリアルプロダクツが所属する株式会社日立製作所のコネクティブインダストリーズ(CI)セクターでは、プロダクトの豊富なインストールベース(デジタライズドアセット)のデータにドメインナレッジと先進AIを組み合わせたデジタルサービス「産業分野向けHMAX」を、成長産業へ水平展開する「Integrated Industry Automation」に注力しています。日立インダストリアルプロダクツはCIセクターの一員として、Lumada 3.0を体現する「産業向けHMAX」の提供を通じて、フロントラインワーカーの現場を革新します。
実証試験事業の概要
| 実施期間 | 2025年11月~ 日立建機 常陸那珂臨港工場でのハイブリッドダンプトラックの製造 2027年7月~12月 南アフリカでの実証試験 |
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| 実施場所 | 南アフリカ共和国 リンポポ州 の鉱山現場 | |
| 内容 | 鉱山現場の稼働環境下におけるハイブリッドダンプトラックの基本性能や、充放電による燃費低減、バッテリーの耐久性を検証、ハイブリッドダンプトラックの保守・メンテナンスなどのトレーニング | |
| 両社の役割 | 日立建機 | ハイブリッドダンプトラックの全体設計、製造、実証試験の実施 |
| 日立インダストリアルプロダクツ | ディーゼルエンジンで発電した電力と回生ブレーキによりバッテリーに蓄えた電力を活用して走行するACドライブシステムの製造 | |
日立建機について
日立建機は、油圧ショベル、ホイールローダ、道路機械、鉱山機械などの開発・製造・販売・サービスの事業をグローバルで展開している建設機械メーカーです。新車販売事業に加えて、部品・サービス、再生(部品・本体)、レンタル、中古車の「バリューチェーン事業」を拡大し、革新的なソリューションをお客さまに提供するソリューションプロバイダーとして、お客さまと共に成長を続けています。世界に約26,000人の従業員を擁し、2024年度(2025年3月期)の連結売上収益は1兆3,713億円、海外売上収益比率は84%です。詳しくは、日立建機のウェブサイトをご覧ください。
なお、日立建機は2027年4月1日付で商号を「ランドクロス株式会社」に、コーポレートブランドを「LANDCROS」に変更する予定です。
日立インダストリアルプロダクツについて
日立インダストリアルプロダクツは、日立グループの大型産業機器事業を担い、創業以来のモータ事業を継承し、モノづくりの強化と技術革新を強みに、お客さまの課題解決に取り組んでいます。「モノづくりの力で、ステキな未来をつくる」というパーパスのもと、プロダクトとサービスを通じて持続可能な社会の実現に貢献していきます。詳しくは、日立インダストリアルプロダクツのウェブサイトをご覧ください。
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