株式会社正治組
静岡県伊豆の国市
土木部部長
大矢 洋平 氏
主任
伊藤 優貴 氏
会社概要
昭和43年1月設立。静浦港韮山停車場線防災・安全交付金工事(長塚橋橋脚補強工)で、第2回i-Construction大賞を受賞した。地上型レーザースキャナー(TLS)をはじめとする3次元計測機器を駆使し、2次元図面が主流の土木工事に新風を吹き込んだ。ほかにもドローン、ICT建機、3Dモデリングソフトなどを積極的に取り入れ、工期、工事粗利の改善、就業時間の大幅な短縮などを達成している。
Solution Linkage Survey(SL-Survey)は2020年6月から、土量計測に特化した「Standard版」と標定点機能を持つ「Advanced版」のラインナップとなった。Advanced版は、複数の周波数でGNSS信号を受信する2周波タイプのアンテナ・受信機に対応しているほか、計測前にあらかじめ「標定点」といわれる既知点(すでにその場所の3次元座標がわかっている点)をもとに、3次元モデルを作成する機能を持っている。この標定点機能を活用すると、Advanced版で計測した3次元モデルを、現場の座標系に合わせて作成することが可能だ。
正治組の大矢洋平氏は、早くから現場の3次元化に取り組んできた。SL-Surveyも以前のバージョンから顧客となっていた。今回、Advanced版が2周波対応、標定点機能を実装したことで、応用的な使い方ができるのではないか、と考えた。
「伊豆の国市から公共下水道整備事業を受注し、現在、地下埋設物調査を行っています。事業では新しく下水道を設置するにあたって、既存のインフラがどのように配置されているかを調査するのです」
「ところが実際に調査を始めてみると、電力、ガス、通信、水道など事業者が異なるインフラ管路が埋まっており、台帳に記載されている場所にないこともあります。さまざまな台帳を調べても掲載されていない謎の管が走っていることもありました」
「自分が感じたのは、毎回工事のたびに施工者が調査を行うのではなく、一度試掘した管路をきちんと3次元座標で残しておけば、後々の工事をする人たちに役立つはずだということです」
大矢氏は、実際に市内の交差点改良工事を施工した際に、実際の地下埋設物を測量して3次元モデルを作成、レーザスキャナーで取得した3次元データに統合した。
「地下管路は、管路すべての点群を取得しなくてもいいのです。管が方向を変えたり高さを変えたりする変化点だけを計測して、3次元CADで管径を合わせて点をつないでいくだけで、管路の現況モデルができます。SL-Surveyは、標定点メニューで簡単に3次元座標を計測することができる。この機能をうまく使って、現場の3次元座標を気軽に取得できれば、もっと用途が広がると思います」
大矢氏は、現場では、まだまだ2次元の図面を使うことが多いが、3次元座標を取り入れることで、工期や手間を削減できると話す。また主任の伊藤優貴氏は、現場にある工事基準点をSL-Surveyのアンテナで座標計測も行った。大矢氏、伊藤氏は、独自の視点でSL-Surveyの機能を見ている。