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COO メッセージ

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 お客さまとの強固な信頼基盤を築くと同時に、当社グループは社会全体の持続可能性に向けた挑戦にも力を注いでいます。具体的に、カーボンニュートラルとサーキュラーエコノミー(循環型経済)の実現に向けて、着実に取り組みを積み重ねてきました。その成果は「bauma 2025」で披露した油圧ショベルの電動化技術に結実しており、欧州市場では建設機械の電動化でトップランナーの立場を確立しつつあります。ザンビアでのトロリーシステムを使ったフル電動リジットダンプトラックの実証試験も最終段階に進んでいます。当社グループはこれからも、電動化・水素化といった新たな潮流にも柔軟に応えながら、未来社会にふさわしい建設機械を創り続けます。「環境にやさしく、人にもやさしい、真に信頼される建設機械」で、持続可能な社会づくりに貢献してまいります。  サステナブル社会への挑戦と並行して、内部組織の進化にも注力しています。未来社会にふさわしい建設機械を提供するため、一人ひとりのお客さまの多様なニーズに、柔軟かつ迅速に応える体制が不可欠です。この想いをかたちにするため、2022年4月からビジネスユニット(以下、BU)制を導入し、開発・生産などの機能部門を横断的に結びつけて、現場感覚とスピードを両立する組織体制を整えました。 【お客さま起点の組織変革~ BU 制の深化とDX による進化】  BU制の導入から3年が経ち、社内の効率性や可視化が進み、着実に成果が表れ始めています。しかし、私たちはこれに満足していません。真にお客さま起点の組織へと進化するため、会議体の再構築や組織の新設などを含め、代理店などから寄せられるフィードバックを定量化し、開発部門へ直結させる「CSスコア(CustomerSatisfactionスコア)」の仕組みを強化しています。不具合対応にとどまらず、安全・環境といった新たな評価軸も加えながら、製品改善サイクルをさらに加速させていく必要があると考えています。  こうした組織変革を推進しスピード感を上げるため、AIをはじめとするデジタル領域に精通した西澤氏を新たにCTOとして迎えました。現在、西澤CTOは新事業創生ユニット管掌、研究・開発本部長を兼任し、デジタルを軸とする組織改革と研究開発機能の刷新を主導しています。  今後も当社は、CSスコアによる顧客評価をさらに精緻化し、潜在的な課題への先回り対応を強化します。加えて、安全・法規・環境といった新たな価値基準を積極的に取り入れ、これまで捉え切れていなかったお客さまの期待にも応えていきます。BU制で培ってきた現場力にデジタルの力を掛け合わせることで、当社グループは現状にとどまることなく、次の成長ステージへ進むことができると私は確信しています。

 成長戦略、お客さまの信頼深化、社会課題への挑戦、組織変革。すべては、最終的に企業価値向上に直結するものと私は理解しています。この企業価値を着実に高め続けることが、COOである私に課せられた最大の使命です。その実現に向けて、企業価値の定義を明確にすると同時にスピード感を持った経営戦略を重視し、着実に前進していきます。単なる理想論で語らず、定量的な成果によって株主・投資家の皆さまに説明責任を果たしてまいります。 【従業員へ「LANDCROS」理念の体現を浸透させる】  この挑戦を支える原動力が、従業員一人ひとりによる「LANDCROS」理念の体現です。お客さま(C)に信頼される(R)、オープン(O)なソリューション(S)を追求する精神を、私の責任として組織の隅々にまで浸透させてまいります。私自身、日立建機グループで30年近く現場に立ち、「Kenkijinスピリット」の体現を執行の財産としてきました。お客さまの課題に正面から向き合い、困難に挑みながらも仲間と共に成長を重ねるDNAが、当社グループにおける強さの源泉です。  私の信念は「最前線にすべての企業活動の源泉がある」であり、現場での細かな点の気づきにも目を配りながらBU長の意識変革を後押しし、組織文化の進化につなげていきます。こうした挑戦を一過性の取り組みに終わらせることなく、全従業員が納得し、自分の意志で推進できるよう、私はこれからも現場とのコミュニケーションを大事にしていきます。 【企業価値向上に向けた決意】  長期的な視点に立ち、当社グループがめざす将来像を資本市場の皆さまに向けてエクイティストーリーとして説明することも、私に課された重要な役割です。その中では、将来の株主構成をどう考えるかを含めて、まずは私たちがしっかり納得しなければ、資本市場からの共感を得ることはできません。また、どれほど魅力的な将来像を描いても、その実現への道筋に現実味がなければ、株価が正当に評価されるのは難しいのが実情です。だからこそ私たちは企業価値向上に向けた戦略や実行計画を常に磨き続ける必要があり、株主・投資家との対話やエンゲージメントにも真摯な姿勢で臨まなければならないと考えています。  幸いなことに、当社のこうした取り組みは市場関係者から一定の評価を得つつあります。今後も、世界経済や市場環境の変動に直面する場面は、幾度となく訪れると見込まれます。しかし、そうした変化にも動じることなく、当社グループは自らが掲げた将来像を忠実に体現することをめざし、企業価値向上に向けて、一歩一歩着実な歩みを進めてまいります。