労働安全衛生
基本理念・推進体制
日立建機では、「安全と健康を守ることを全てに優先させる」との基本理念のもと、労働災害を防止するため、さまざまな安全衛生活動を推進しています。
活動にあたっては、「安全衛生推進委員会」が日立建機グループ全体の安全衛生活動を統括し、労働災害に関する情報共有や活動報告、計画の策定等に取り組んでいます。
また、同委員会では、分科会を設置し労働安全衛生活動の推進担当者の育成や技術的な検討、相互巡視、関係法令の順守状況の確認等、日立建機グループ各社の労働安全衛生マネジメントシステムに基づく取り組みを支援しています。
なお、日立建機ならびにグループ会社では、各社が「安全衛生委員会」を組織し、労働災害や安全衛生に関する情報の共有と対策、および重大ヒヤリ事故の対策についての議論を定期的に実施しています。日立建機の委員会は、労働組合の代表者を含む委員で構成され、労使一体となった取り組みを行っています。
これまでも安全衛生の重要性については、社長メッセージ等により経営上の重点項目として位置付け、「安全最優先の徹底」を周知するとともに、強いリーダーシップのもとで誰もがいきいきと働ける職場をつくるため、経営層とのコミュニケーションを基盤とした日々の安全衛生活動に取り組んでいます。
2023年度の方針および重点実施項目
1. 基本理念
「安全と健康を守ることを全てに優先させる」
2. 方針
①「すべての労働災害は防ぐことができる」という強い信念を持ち行動する。
② 健康経営を推進し「誰もがいきいきと働くことのできる」活力ある職場環境を確立する。
3. 労働災害撲滅に向けた推進事項(グローバル共通)
(1) 安全文化の再構築
・労働安全衛生マネジメントシステム(ISO45001)に基づき、自律的にPDCAを機能させ、継続的な改善により類似する災害・事故の再発防止を徹底する。
・事故調査制度の確立と推進、災害・事故事例の活用、労働安全衛生関係法令の遵守徹底、安全衛生関連研修・教育訓練の積極受講、安全衛生に係る投資促進・確実な実行等により「安全最優先」の意識と行動を組織に浸透させ、堅固な安全文化をつくる。
・建設機械、フォークリフト等、車両が関係する事故は絶対に発生させないことを再徹底する。
(2) 本質安全化の実現
・機械設備の本質安全化を徹底し、自動化・可視化等を促進することにより労働者の安全を守る。機械設備は計画から実用化まで各段階でリスクアセスメントを実施し危険源を徹底排除する。
・リスクアセスメントの質的向上をより一層推進し、危険源の顕在化によるリスク低減を図る。
(3) 組織トップの強いリーダーシップによる全員参加の安全衛生活動
・災害・事故を起こさないという強いリーダーシップのもと全員参加の安全衛生活動を実施する。
・職場内の双方向コミュニケーションを基盤とし、不安全事項の抽出・対策を徹底するとともに、褒める文化を醸成する。
・グローバル安全衛生監査等を実施し労働安全衛生におけるグループのガバナンス強化を図る。
(4) 健康経営の強化推進
・心と身体の健康保持増進を目的として「健康経営銘柄」取得に向けた取組みを強化する。
・ストレスチェック等の心理健康度調査等を実施した結果を活用するとともに、高ストレス者への相談体制強化を図る。また、産業等産業保健体制の強化と働き方改革、業務負荷軽減施策等を一体とし、安全衛生部門と人事勤労部門が協力してメンタルヘルス不調の発生を食い止める。
・新型コロナウイルス感染症予防のために必要な措置を講じ、組織内に周知徹底する。
労働安全衛生マネジメントシステムの定着と活用
日立建機グループは、労働安全衛生マネジメントシステムを構築し、国際規格の認証取得をめざす活動を推進・支援しており、引き続きISO45001規格認証取得をグループ共通のテーマとして計画的に推進しています。
労働安全衛生マネジメントシステムはリスクアセスメントに基づく危険源の顕在化によって災害を未然に防止するための重要な仕組みであり、効果的なリスクコントロールにより、事業基盤を一層強固なものにしていきたいと考えています。
ISO45001認証取得の状況
日立建機国内グループ会社では2012年度からOHSAS18001規格に基づいた労働安全衛生マネジメントシステムの認証・更新を推進してきましたが、2019年度から国際規格ISO45001の認証取得に向けて活動を進め、2020年4月にISO45001に移行認証を取得、グループ会社も2021年度中にすべてISO45001に移行しました。また、海外も同様にOHSAS18001認証・更新を推進してきましたが、2019年度からISO45001認証取得活動を推進しています。
2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | ||
日立建機 | 土浦工場 | ISO45001移行 | ISO45001 | ISO45001 |
霞ヶ浦工場 | ISO45001移行 | ISO45001 | ISO45001 | |
常陸那珂工場 | ISO45001移行 | ISO45001 | ISO45001 | |
常陸那珂臨港工場 | ISO45001移行 | ISO45001 | ISO45001 | |
龍ケ崎工場 | OHSAS18001※1 | ISO45001 | ||
播州工場 | OHSAS18001※1 | ISO45001 | ||
日立建機ティエラ | OHSAS18001 | ISO45001移行 | ISO45001 | |
日立建機カミーノ | ISO45001移行 | ISO45001 | ISO45001 | |
多田機工 | 社内認証システム※2 | ISO45001取得 | ISO45001 | |
新東北メタル | 社内認証システム※2 | ISO45001 | ||
日立建機日本 東京工場 | OHSAS18001 | ISO45001移行 | ISO45001 |
※1 旧KCM 2工場でOHSAS18001認証取得し、2021年度にISO45001に統合取得
※2 日立建機安全衛生部門がOHSASに準拠したマネジメントシステムで監査、認証する仕組み
安全衛生教育
当社は、安全衛生教育を計画に沿って愚直に進めることが安全衛生活動の基本であると考えています。
日立建機グループでは作業経験の浅い従業員を災害から守るため、身近で指導する立場にあるリーダーたちを中心に安全教育を実施しています。また、従業員には製造現場のみならず間接業務に携わる職場でも、「体感訓練」などを通じて「危険を危険として予知できる」ことの重要性を理解してもらう教育を推進しています。特に教育体制の強化を推進しており、安全衛生教育体系の見直し、工場内の体感訓練施設(セーフティートレーニングセンター)で実施する教育カリキュラムの拡充を図るとともに、VR体感訓練、動画学習等のデジタル化推進にも取り組んでいます。
労働災害の発生状況
日立建機の2022年度の労働災害発生件数は45件で、前年度比で20件の増加となりました。依然として「労働災害ゼロ」は達成されておらず、危機的な状況であるという認識に立ち、災害の根本原因の究明と真の根本対策、およびその水平展開を確実に実施していくことが重要であると認識しています。
また、国内グループ会社では全体で80件の労働災害が発生し、うち製造部門が68件(前年度比30件増)、販売サービス部門が12件(前年度比6件減)という結果でした。
相互啓発型の安全文化をめざす
当社は安全を「コントロール(制御)」することから、PDCAによって「マネジメント」するしくみを機能させることが重要であると考えています。今後も継続して労働安全衛生マネジメントシステムを活用し、リスクアセスメントの質的向上を図り、リクアセスメントに基づく危険源の見える化と計画的で確実な安全対策への投資強化に注力していきます。
当社は「安全と健康を守ることを全てに優先させる」という基本理念のもと、安全最優先の行動により職場の安全確保に努めていますが、なかでも、職場の一人ひとりが主体となり、お互いに安全でありたいという相互啓発型の安全文化をめざします。
労働災害の防止に向けた取り組み ―安全衛生発表会の開催
日立建機グループは、日立建機ならびに国内グループ会社における安全衛生活動の成果を共有し、自社の活動に生かすことを目的として、年に1回、「日立建機グループ安全衛生発表会」を開催しています。
2022年度も新型コロナウィルス感染症対策の状況下で、リモートで各社を結び労使参加のもと7月に開催しました。
健康経営への取り組みー働く人々の「ハピネス」に注目
日立建機グループでは、従業員およびそのご家族の心身の健康と、働く者の健康年齢延伸などの施策に貢献するべく、「健康経営」への取り組みを推進しています。2022年度は、恒例となった「グループウォーキング」を実施し、34チーム224名が参加しました(前回比+3名)。また、産業保健体制の強化や特定保健指導強化など、引き続き、健康保険組合との連携による生活習慣病予防や禁煙治療についても取り組みを進め、健康経営における具体的な活動を強化・推進していきます。
従業員が持てるパフォーマンスを十分に発揮し、労働生産性を高め、健康でいきいきと働くことのできる会社をめざしています。健康経営は、経営の重要なテーマであると考えており、2017年10月には、社長名で「健康経営宣言」を策定しました。働き方改革への取り組みやワークライフマネジメント、ポストコロナを見据えた変革も、基盤は「健康」であることに他ならないと考えています。これからの組織の創造性を高めるために従業員の「ハピネス」に注目し、明るく前向きに働くことのできる毎日の実現をめざします。
また、日立建機は2022年に続き2023年も3月に、日本健康会議から2023年度の「健康経営優良法人」に認定されました。
※ 健康経営は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。
メンタルヘルス対策
日立建機グループでは、「メンタルヘルスケア」の重要性を認識し、厚生労働省指針に基づく4つのケアを中心とした活動を継続的に実施しており、特にハラスメントの防止に関連した内容やコロナ禍におけるストレスコーピングについてなど、タイムリーな内容を意識した研修を展開しました。
ストレスチェックについては法制化前から毎年実施しており、従業員のストレスへの気付きと快適な職場環境づくり、専任カウンセラーによる相談窓口の利用促進などにつなげてきました。2022年度は11月に実施し、国内グループ会社を含む約10,000名が受検しました。ストレスチェックはストレスに対する従業員の気付きをもたらし過重労働防止対策や医師の適切な措置・指導とも深く関係する重要な取り組みであり、従業員の心と身体の健康を守る上で重要な基盤の一つであると考えています。従来からストレスチェック結果報告会を実施し、メンタルヘルスケアへの意識向上に努めていますが、2022年度からは報告会終了後のアンケート結果から、職場のニーズを把握し具体的な対策につなげる、よりきめ細かい活動も展開しています。
また、全従業員対象のセルフケア研修や、管理者向けに職場改善の検討も含めたラインケア研修、休職された方の復職支援、EAP(Employee Assistance Program)の活用によるご家族も含めた健康相談サポートなどにより、従業員およびそのご家族の視点に立った活動の実施に努めています。
これからも、働き方改革や従業員の満足度向上を意識しながら、企業にとってかけがえのない人財が、持てる能力を十分に発揮し、より健康で快適に働くことのできる会社をめざし、産業保健全般の質の向上を図っていきます。