
安全性を高め、鉱山全体を効率化して生産性を向上
鉱山現場の自動化が進む中、日立建機では、自動運転に向けた鉱山用ダンプトラック自律走行システム(Autonomous Haulage System:AHS)の開発試験を行っています。
高い安全性と生産性が求められる鉱山運営において、鉱山全体の効率化がお客さまの課題となっています。中でも、超大型油圧ショベルなどで掘削した鉱物を、ダンプトラックが効率良く運搬することが生産性向上のカギを握ります。ダンプトラック以外の車両・機械も行き交う舗装されていない運搬路を、ダンプトラックが自律的に車体を安定させ、障害物を避けて走行します。
AHSは、鉱山運行管理システム(Fleet Management System :FMS)の指示に従いダンプトラックが自律走行することで、安全性や生産性の向上に寄与するシステムです。日立建機グループでは、Wenco International Mining Systems Ltd.(ウェンコ・インターナショナル・マイニング・システムズ社)がFMSを提供しており、世界各地の露天掘り鉱山を中心に高い導入実績があります。また、現在ではシステムを拡張して、運行管理にとどまらず、鉱山でのさまざまな業務をサポートしています。このように、業界トップクラスの運行管理システムが、日立建機のAHSの根幹を支えているのです。
日立建機のAHSは、鉱物の積み込み場所から、降ろす場所までの道をいくつかの区間に分け、1区間にダンプトラックが1台のみを走行可能とするAHS交通管制システムを導入することで、安全性向上と通信量の低減に寄与しています。このシステムは、日立製作所の技術である鉄道信号保安システムの閉塞管理方式を活用することで実現しています。まさに「One Hitachi」が生んだシステムです。
日立建機のダンプトラックは、エンジンで発電機を動かして得た電力で、ホイールモーターを駆動するAC駆動方式を採用しています。日立製作所と共同開発した「高度車体安定化制御技術」により、左右のホイールモーターに路面状況に合わせ独立した駆動指示を伝え、走行時の車体挙動を安定化し、ダンプトラックの安定した走行に貢献しています。質の高い制御を実現したダンプトラックをAHSのベースマシンとするとともに、すでに世界中で稼働しているEH AC-3シリーズを、AHS仕様にレトロフィットすることを見据えた開発を行っています。