特集

Vol.128(2019年8月号)

[特集]ゼロからわかるマイニング

図解! マイニングの基礎知識

「鉱山」をなんとなくイメージできても、実際に鉱山や採掘現場を見る機会はなく、知らないことも多いだろう。
鉱物はどんな国で、どのように掘り出されて製品の生産に活用されているのか。ここではマイニングの基礎知識を紹介していく。

文/斉藤俊明 監修:独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)

世界のおもな鉱業国
世界のおもな鉱業国 鉱山トリビア

人々の暮らしに役立つ鉱物資源を掘り出す

鉱山とは、簡単にいうなら「鉱石」を掘る場所だ。いわゆる自然の山だけでなく、平らな土地であっても鉱石を採掘する場であれば鉱山と呼ばれる。

それではそもそも鉱石とは何か? 鉱石は、人々の暮らしや産業に役立つ価値を持った金属に富む鉱物を含み、掘って経済的に成り立つことが可能な岩石のこと。たとえば金を含む金鉱石、鉄を含む鉄鉱石はもちろんのこと、銀、銅、すず、亜鉛、アルミニウムや、近年話題のレアメタル(マンガン、ニッケルなど)を含むものも鉱石と呼ばれる。

鉱石が分布する鉱床から鉱石を掘り出す作業が「採掘」だ。銅の場合、採掘対象となる鉱石中の銅はわずか0.3〜1%ほど。掘り出した鉱石には、有用な鉱物を分離する「選鉱」という作業が必要になる。選鉱し、有用な鉱物が集められたものを「精鉱」と呼び、この精鉱をトラックや鉄道、パイプライン、船などで製錬所まで輸送したあと、不要な元素を取り除く「製錬」という工程がある。それを経て金属がつくられ、初めて建築物や乗り物からスマートフォンまで、身近に使用されているさまざまな製品の素材や電線などのインフラに活用される。

そして、鉱石を掘る方法には、大きく分けて「露天掘り」と「坑内掘り」がある(右図参照)。かつては人力に頼る手掘りが主流だったが、技術が発達した近代以降は機械を使った大規模な採掘が一般的になった。技術の進歩が、鉱石の採掘に大きなインパクトを与えたといえる。さらに近年では、海底熱水鉱床をはじめとする海底資源を採掘するための技術開発やパイロット試験も行われている。

一方、世界の主要鉱業国を見ていくと、国によって特徴があり、中国は鉛や亜鉛、チリは銅、オーストラリアは鉄やボーキサイト、ウランの産出が多い。中国ではマンガン、タングステンといったレアメタルが多いのも特徴だ。また、近年注目度が高まっているのが、ザンビア、南アフリカといったアフリカ諸国。とりわけザンビアでは銅が国の経済を支えており、日立建機も現地に製造・販売・サービス拠点を設置するなど力を入れている。

近年のマイニング業界では、持続可能な開発・利用法が模索されている。閉山後のリハビリテーション(緑化・安定化)や観光スポットとしての活用など、周辺の生活環境に与える悪影響を最小化し、新たな価値を生み出すための取り組みが行われている。また、採掘の効率や生産性、作業の安全性を向上させるため、鉱山ではたらく機械の無人化や集中管理システムによる運行も進み、日々進化を遂げている。

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鉱石って何?

鉱石って何?

鉱石

鉱石とは、有用な鉱物が濃縮し、経済的な価値を持った岩石のこと。火山活動や地殻変動で地球が作り出した貴重な天然資源だ。また、この鉱石が分布する領域を「鉱床」と呼ぶ。写真は鉄鉱石。

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2つの採掘方法はどう違う?

2つの採掘方法はどう違う?

露天掘り

●露天掘り

地表から鉱石を直接採掘していく方法で、主に鉱床が地表に近い場合に採用される。採掘する「鉱石」の割合が多くなるようピット(穴)をデザインできるかが、採掘技術者の腕の見せどころでもある。

坑内掘り

●坑内掘り

坑道を設けて地下の鉱床から鉱石を採掘する方法。鉱床が地下深い場合や鉱床の幅が狭い場合に採用される。岩盤崩壊を防ぐために安全性・通気性を確保しつつ効率的に採掘するため、鉱床の形状や岩盤の状態によってさまざまな方法がある。

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石炭も鉱石なの?

石炭も鉱石なの?

2017年度 一次エネルギー国内供給

炭素、酸素や水素を主体とする有機物の集合体である石炭は、鉱石には分類されない。現在も日本の一次エネルギーの約25%を担っており、供給の安定性と経済性から貴重な天然資源と言える。

出典:経済産業省資源エネルギー庁

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