Solution Linkage 通信簿Vol.125(2018年10月号)

Solution Linkage 通信簿 ICT施工ソリューション編 初導入したICT施工を日立建機が測量から建設機械レンタルまで全面支援 【山形県・米沢市】太田建設株式会社

写真提供/太田建設株式会社 取材・文/増田祐二 撮影/小島真也

ICT施工に詳しい人材を育成してきた日立建機の企業力を評価

「保有機はすべて他社機ですが、以前に2Dマシンコントロールの油圧ショベルをレンタルした縁もあり、当社で初めてとなるICT施工の現場を、日立建機からの技術支援やICT建機のレンタルで工事を進めています。サポートについて感じたことは、日立建機のICT施工に対する取り組みのすごさです。それは、営業員のレスポンスやICT施工の専門部署が持っている知見など、現場をよく知りICT施工に精通した人材を企業として育成し、抱えている強みです」

開口一番、代表取締役の太田政往氏は語った。現場は、ICT活用工事「施工者希望U型」で工事を進める福島県相馬市内の東北中央自動車道 相馬西道路・今田地区道路改良工事。国土交通省 東北地方整備局の発注によるこの工区では、起点部の国道115号線と接続するインターチェンジの福島側のランプを含む延長約400mの道路盛土を施工する。工期は2017年10月下旬から2018年11月末まで。その間に約8万m³の土を盛る計画だ。

今回の工事では、現場条件から工事全体の後半3分の1以降にICT施工を導入した。

「日立建機とはお互いに最適な工事の進め方を模索していき、教わりつつ、こちらの要望にも対応してもらいました。ICT施工に切り替えてからは丁張や補助作業員の配置が減り、機械に人が近づかないことで安全性は大きく向上しました」(太田代表取締役)

代表取締役 太田政往氏

代表取締役

太田政往氏

「さまざまな工事でICT活用が普及すれば導入のための諸費用も下がり、さらに広がっていくでしょう。先行してノウハウを蓄積してきたいと考えています」

現場状況や施工手順を考慮した日立建機からのサポート

ジャンクションにつながる現場は、延伸400mすべてがバンクのついた曲線道路。しかも工区内には本線に進入するオンランプ、退出するオフランプが設けられるために、スロープによる段差がある複雑な構造となる。

「従来施工だと単純な直線道路でも20mごとに、カーブとなれば10m以下で丁張が必要になり、この複雑な構造であればさらに細かく丁張を設置する必要があります。それだけにICT施工による作業低減や生産性向上の効果は大きいと感じています。

また、ICT施工への切り替えで三次元データを作成するために加わった日立建機のパートナー企業も、工区上に被る高圧線を考慮してドローンを飛ばさずにレーザー測量を選定・実施するなど、万が一のリスクに備えた的確な判断と作業をしてくれました。

また日立建機からレンタルしたICT施工対応のブルドーザ2台とICT油圧ショベル『ZX200X-6』への三次元設計データ転送も、日立建機のスタッフがスムーズに対応してくれています」(土木部・油井克紀課長)

東北中央自動車道 相馬西道路・今田地区道路改良工事の現場。延長400mの曲線道路に、本線への進入路と退出路がつながる複雑な構造

ICT施工への切り替えに伴って作成された三次元設計データ。複雑な構造であることがよく分かる。

日立建機で提供しているレンタル機、ICT油圧ショベル「ZX200X-6」とブルドーザ。左は監理技術者を務める太田建設の黒澤貢氏。「初めてのICT施工でこちらもかなり勉強しました。日立建機の対応もよいです」

ブルドーザに転送された三次元設計データは路面が仕上がった状態のデータであり、路体盛土の途中層を平らにするブレードのマシンコントロールにあたっては、オフセット値を入力して修正をかけておく。

「こうした入力サポートもすべて日立建機が対応してくれています。不明なことがあるとオペレータから直接、日立建機の営業員に問い合わせたり、営業員がその先のICTの専門部署と連携して解決策を示してくれるので、管理する側としてはとても助かっています。工事の終盤になればなるほど、ICT施工による生産性向上や工期短縮の効果が出てくるでしょう」(油井課長)

段差や道路端の法面を仕上げるZX200X-6を操るのはオペレータ歴20年以上のベテラン、加藤晃氏。

「法面を押さえる自分の操作感覚を大事にしたいので主にマシンガイダンス機能を使い、マシンコントロール機能を一部併用していますが、モニタも見やすく、過掘りすることなく仕上げられるところがよいと感じています」(加藤氏)

ICT施工のノウハウを蓄積し提案力を高めて受注増をめざす

山形県内の土木建設会社が手がけるICT施工事例はまだ多くない。一方で、平成30年度の「山形県優良建設工事顕彰」土工部門においては、ICT施工を提案した受注者が表彰を受けた。

「県もICT施工を推進しているだけに、今回の現場で得た経験は今後、発注先への提案に活かせます。データを一括管理でき、人の手を煩わせることなく安全性を高めることができるほか、慣れていくことで次第に施工精度もアップさせていけるでしょう。こうしたICT施工のノウハウを活かした品質・精度向上などを当社の“強み”としてPRし、受注につなげていきたいです」(太田代表取締役)

福島県相馬市を起点に山形県を経由して秋田県横手市まで結ぶ東北中央自動車道の工事も、開通区間が増えることで今後は発注案件もひと段落していく。

同社は土木のほか、米沢市を中心に宅地分譲や注文住宅、公共・民間の建造物など建築の事業も数多く手がけるが、「今後は県外の土木案件のウェイトも上げていきたいと考えています。さらに創業時からの事業である田畑などの整備には、熟練オペレータに頼るところが大きいだけにICT活用が有効でしょう」(太田代表取締役)

「今回は途中からICT施工に切り替えたこともあり費用面での効果は見えにくいけれど、日立建機は必要なところでサポートし、的確な解決策を示してくれました。今後は日立建機には解決策の提示に止まらず、当社へのさらなる提案を期待したいです」(油井課長)

施工者希望U型:
契約後、施工者からの提案・協議を経てICT活用施工を実施する方式。
丁張:
切土および盛土工事などの際に構造物の位置・高さや勾配角度の目安を表示する仮設工作物。

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【Solution Linkageへの評価】

【Solution Linkageへの評価】

土木部課長

油井克紀氏

「今回の現場で、ICT施工で『できること』『できないこと』の判別も進みました。初めてのことで混乱もありましたが、ノウハウ蓄積や加点評価へつなげる実績づくりのための投資だと考えています。提携企業の紹介も含め日立建機にはワンストップでの対応を期待します」