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テキサス州サンアントニオ東部に拠点を置くボブキャット・トラッキングは、アスファルト資材の輸送を手がける運送会社だ。採掘場と建設現場をつなぐ物流設計にも携わり、地域のインフラを支えている。創業者ブランドン・イーガンは、現場で感じた“トラック不足”を機に独立を決意。弟マーカスと共に事業を拡大してきた。「最初は1台だけ。いつの間にか15台になっていて、独立を決めたんだ」と彼は笑った。
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気づけば、自らの判断で動かした小さな歯車が、ビジネスという名の大きな機械を動かす原動力になっていた。ブランドンは、アスファルト業界で働いていた弟のマーカスを会社に招き入れる。マーカスは振り返る。「ブランドンにはすでに取引先があったし、僕には業界の人脈があった。2人でやれば、もっと会社を大きくできるという確信があったんだ」ボブキャット・トラッキングは、資材を必要とする企業と、処分先を探す企業の間に立つ仲介業者としても機能している。無駄なく、効率よく資材を流通させる仕組みを構築することで、地域の物流に新たな価値を生み出してきた。「材料を欲しがってる人と処分したい人をつなげるんだ。うまくハマった時なんか、ホームランを打った気分だね」
冗談まじりにそう話すブランドンだが、その言葉の裏には、常に現場を見つめ続けてきた経営者としての矜持がにじむ。誰よりも懸命に働き、周囲の信頼を集めるブランドン。その原点となったのは、高校時代の忘れがたい経験だ。当時、バイクが欲しかった彼は、父親に頼み込んでようやく手に入れたものの、わずか4日後に事故を起こし、壊してしまった。「父から“半分は働いて返せ”と言われていたけど、修理代も含めて稼ぐはめになった。あの夏は本当に働いたよ。あれで“欲しいものを得るには自分で努力するしかない”ってことを学んだんだ」その“自力で切りひらく”という精神は、今のBobcatトラッキングの経営にも貫かれている。
日立建機の機械を導入したのは、同社が新たに採掘場を開設したばかりの頃だった。ASCOの担当マネージャーのロスは当時をこう語る。「ちょうどいいタイミングだった。だから“まずは一回、試してみてください”ってデモ機の試乗を勧めたんだ」ボブキャット・トラッキングではちょうど油圧ショベルの入れ替えが必要となっていた。そのような状況のなかでブランドンはある事実に気づく。「アメリカでなじみのあるブランドの油圧ショベルが、かつては日立建機との合弁により製造されていたと知ったんだ。だったらその技術を最初につくった会社の機械を一度使ってみたいって思ったんだよ」実際にデモ機に触れてみて、その性能と使い勝手のよさに納得した彼らは、すぐに日立建機の油圧ショベルを導入。さらに2台を追加し、現在は現場を支える主力として稼働している。「まずカメラの視認性がいいし、LEDライトも明るい。サービス対応も速いから本当に助かってるよ」とマーカス。ASCOのサポートに対する信頼も厚い。「万が一機械が故障した場合、対応の速さは何よりも重要だからね。注文した部品はいつも時間通りに届くから安心して任せられる。それがASCOから日立建機の機械を購入する理由のひとつでもあるんだ」ブランドンも「トラックに資材を積み込むときのサイクルが早くなった。生産性が全体的に上がったんだ」と手応えを語る。
将来のビジョンを尋ねると、2人の答えには迷いがなかった。「トラック運送業の仕事をもっと広げたいし、資材部門もさらに成長させたい。いずれは子どもたちに会社を託して、大きくしていってもらえる基盤を作りたい」とマーカス。そしてブランドンは少し笑いながらこう語った。「何も持っていなかった人間でも、会社を興して市場に影響を与えられるってことを証明したいんだ。だからこの先5年、10年で自分たちの名前をもっと広めて、一緒に働いてくれる仲間を大切にしたい。それが一番の目標だよ」