Activity1 建設機械をつくる

写真:建設機械の進化を担い、新しい価値を世界の現場に

1965年に純国産技術による初の油圧ショベルを開発した日立建機グループは、2000年には世界で初めて建設機械に衛星通信端末を搭載するなど、常に業界をリードする技術・製品を開発し、建設機械に関する多くの基盤技術を蓄積してきました。
私たちの製品は、主に土木建設やマイニングなどの現場で、人に代わって多くの作業を行うために使われています。したがって、故障や消耗に強く、長い期間、安定的に大きな生産性を発揮する信頼性と耐久性が高い機械であること、さらに現場の「ひと」が事故なく、多様な施工現場でより効率的に作業ができる安全性と操作性を備えていること、そしてエネルギー消費を抑え、環境負荷の低減に寄与する製品であることが求められます。近年は、電動化技術の開発が進んでおり、従来製品に比べ30%燃費を低減したハイブリッド建機や電動駆動技術を活用したダンプトラックなどを開発してきました。また、製品の高性能化や操作性・安全性の向上に欠かせない電子制御技術も導入しており、2016年6月には3D情報化施工時代に向けた新型油圧ショベル「ZX200X-5B」を市場投入しました。
さらに、国土交通省が新たに取り組みを始めたi-Constructionの分野においても、建設機械を軸としたICTソリューションとサービスを提供し、お客様のニーズに幅広く対応するとともに、土木建設業界の生産性や労働力減少といった課題の解決に挑戦していきます。

グループ総合力とオープンイノベーションで建設機械の未来を「つくる」

日立建機が先端的な技術領域を広げていく上で、大きなアドバンテージとなっているのが日立グループの力です。日立製作所を中心とする日立グループは、情報・通信システム、電力システム、 社会・産業システム、電子装置・システム、建設機械、高機能材料、オートモーティブシステム、生活・エコシステムなど、さまざまな領域で事業を展開しています。世界の建設機械業界を見渡しても、これだけ広範なバックボーンを持つ企業は他に存在しません。
日立グループとのシナジーは、主に3つの側面で効果を発揮しています。1つめが製品面です。グループが保有するさまざまな製品や技術、例えば、電子制御装置やセンサー、情報・通信システムなどを活用することで、建設機械の電動化、インテリジェント化や製品の保守・運用管理の効率化につながるソリューションを迅速かつ確実に展開できます。2つめが技術革新のシナジーです。日立グループではお客様起点で、お客様の近くに研究開発拠点を設け、グローバルな社会イノベーション事業の強化に取り組んでいます。そして、日立建機の研究者・技術者は日立グループの部門と連携しながら、建設機械にイノベーションをもたらす技術開発に取り組んでいます。3つめが人財面です。研究開発の現場では、移籍や出向などさまざまな形式で人財交流しているだけでなく、日立グループで経験を積んだ人財が事業運営にも携わっており、これらは日立建機の組織・人財の多様性・活性化と革新性の源泉となっています。さらに、日立グループにとどまらず、国内外のメーカーや大学・研究機関、ハイテクベンチャーとの共同開発・技術提携も積極的に推進しています。今後も、社内に根付いたオープンイノベーションの風土を一層強化し、建設機械の技術革新をリードしていきます。

写真:泉 枝穂

日立建機株式会社
開発・生産統括本部
泉 枝穂

「お客様の現場に足を運び、直接の信頼を得ることで、開発者としての喜びを実感します」

2011年に発売したハイブリッド油圧ショベル「ZH200-A」は、日立建機と日立製作所の開発者がプロジェクトチームを組み、私も当時は日立製作所からの出向として開発に携わりました。「ZH200」シリーズは、より多くのお客様に導入いただけるよう「ハイブリッド+(プラス)」を開発コンセプトとしており、低燃費性だけでなく、さまざまな現場に対応する実用性を兼ね備えたモデルです。私は日立製作所で自動車の電動デバイスを開発していた経験から、油圧電動旋回システムの設計を担当しました。日立製作所時代は製品の一部の設計者という立場でしたが、日立建機ではお客様に最終製品をお届けする立場として設計に携わることになり、大きな違いを感じました。配属後すぐに車両系建設機械の運転免許を取得し、実際にショベルを操作する傍ら、お客様の現場にも足を運び、より多くのオペレータの方に使いやすいと評価していただける機械をつくろうと奔走しました。それまでとは違う努力が必要だった分、お客様から直接、信頼を得る実感があり、開発者としての喜びも大きくなりました。
現在は日立建機の社員として情報化施工のショベル開発に携わっていますが、日立建機の開発チームは、限られた期間でもやるべきことは必ずやり遂げるチームだと自負しています。これからもグループの総力で、たくさんのお客様に使っていただけるイノベーティブな製品をめざしていきます。

開発加速とフルラインナップでホイールローダ事業を推進

日立建機と川崎重工は、2009年にホイールローダ事業の合弁会社KCMを設立し、排出ガス規制対応ホイールローダの共同研究開発や生産体制の効率化などを進めてきました。2015年10月1日付けで日立建機はKCMを100%子会社化し、両社の技術融合と調達・生産の一層の効率向上により、ホイールローダ事業をさらに拡大・強化しました。そして、世界的な競争が激化する中、さらなる競争力向上を目的に、2016年4月1日付けでホイールローダの開発・製造事業をKCMに承継しました。KCMに集約することで、ホイールローダ事業の開発・製造事業の強化がさらに加速します。
元来、川崎重工は大型機、日立建機は小中型機に強かったため、技術融合によりグループとして製品ラインナップの拡充が実現しました。販売網においてもシナジーを活かせることから、世界各地のニーズにワンストップでお応えできる体制を基盤に、お客様満足のさらなる向上を図っていきます。

写真:ホイールローダ

顧客ニーズに基づくトータルソリューションを実現するための開発力を強化

市場のグローバル化やビジネス環境の変化に伴い、建設機械および周辺システムに対するニーズは大きく変化しています。これまでは、建設機械そのものや、サポートネットワークといった領域のシステム開発が主体でしたが、現在では、鉱山サイトや施工サイトの管理システムや、これらと機械をつなぐ情報ネットワークシステムなど、機械を中心としたトータルソリューションのためのシステム開発が必要となっています。
こうした変化を受け、ネットワーク・サーバシステムを含む機械周辺のシステム製品の開発力強化を目的として、2016年度から「IoT※1ソリューション事業化プロジェクト」を本格的に始動しました。このプロジェクトは、「顧客ソリューション事業推進本部」が、お客様のニーズに基づいて企画立案したソリューションを実現する製品開発をミッションとしています。
日本国内においては、これらのソリューションを日立建機日本がお客様へ提案する、三位一体の体制で推進していきます。日立建機の開発部門、日立グループおよび関連分野のグローバルリーディングカンパニーとの提携を積極的に活用するオープンイノベーションで、鉱山や建設施工のトータルソリューションを推進していきます。

※1 IoT:Internet of Things = モノのインターネット。

第12回日立建機グループ国際技能競技会を開催

日立建機グループでは、工場に勤務する技術者の技能向上や技術情報共有などを目的として、年1回「日立建機グループ国際技能競技会」を開催しています。12回目となる今年度は、2015年11月3・4日の2日間、霞ヶ浦総合研修所にて開催。初参加のブラジルをはじめとする各生産拠点の34名、KCMを含む国内グループ会社や協力会社の48名、合計82名が参加し、過去最大規模の大会となりました。また、今回からロボット溶接が正式競技となり、7つの競技種目が実施されました。
近年では海外エンジニアが優秀な成績を収めており、確実な技術力の向上が見られます。今後も世界中の全工場で世界統一品質「Made by Hitachi」の実現に向け、切磋琢磨していきます。

写真:ロボット溶接競技の様子

ロボット溶接競技の様子

より少ない環境負荷でより高い生産性を ~事業活動の環境負荷削減~

日立グループ共通の環境ビジョンと長期計画「環境ビジョン2025」の実現に向け、日立建機グループでは、製品製造時の環境負荷削減に取り組んでいます。現在は、2016年度までの環境行動計画のもと、国内外の製造グループ会社、販社グループ会社が対応すべき日立建機グループ全体の統一指標(定量目標、非定量目標)と具体的な活動項目を設け、各拠点がPDCAを回し目標達成に取り組んでいます。
国内製造グループ各社では、ピーク電力の削減による省エネ活動を推進しています。2015年は土浦工場のコンベンションホールにてピーク電力削減活動を行いました。ホールの電力消費ピーク時に、太陽光発電と電気自動車蓄電池から電力を供給し、不足分は電力会社からの送電でまかなうものです。電気自動車には事前に夜間電力を使って充電を行っています。この取り組みの結果、最大15%のピークカットが実現し、総消費電力量が13%削減できました。今後、他の施設にも活動を展開するとともに、停電時の電力供給など事業継続計画(BCP)対応にもこの仕組みを活用していきます。

写真:事業活動の環境負荷削減
写真:水町 勇一郎

日立建機株式会社
生産技術センタ インフラ施設課
水町 勇一郎

「電力の見える化により、見えてきた次のモノづくり」

国内5工場では「2016年度までにエネルギー使用原単位を2010年度比で30%改善」の目標に取り組んでいます。これは、一定量の生産活動に対するエネルギー使用量を3割削減することを意味する高い目標です。そこで、2013年度から工場のエネルギー使用の80%を占める電力量に関して、重点的な見える化を行い、自律的な削減活動を推進してきました。
製造ラインでは、設備単位あるいは工程ごとに使用電力と待機電力のデータを毎日収集し、月次で傾向を表しました。例えば、機械加工設備の場合、実際に部品を研削している時間はわずか数%の場合もあり、消費エネルギーの大半が待機電力であることが分かりました。これらのデータを作業管理者と担当者に見せると、ひと目で無駄を理解してもらえ、こまめに電源を切る活動が始まります。さらに、活動により省エネ効果が得られた工程、さほど得られなかった工程を比較するデータを提示し注意喚起を図ったところ、改善が一層進みました。
今回の見える化導入により次なる課題も発見できました。工程ごとの生産管理情報とエネルギー消費データをIoTを利用してリアルタイムでつなげ、工程単位で解析することで、部品の生産性と電力の紐づけが可能です。例えば、ある部品にかかる電力と別機種の部品とを比較したり、ロス率と電力の相関をとることで、生産工程の構造上の無駄を抽出できるでしょう。
今後は、より低い環境負荷とコストで高いエネルギー生産性を実現する指標として、この見える化が日立建機の工場改革にも役立つと考えています。