Activity2 建設機械をつかう

写真:お客様の「つかう」を起点にイノベーションを追求

真のお客様満足を獲得するためには、信頼性の高い機械を提供するだけではなく、長期間にわたる安定稼働とライフサイクルコストの低減を通じて、お客様のビジネスに貢献していくことが大切です。日立建機グループでは、お客様の「つかう」を起点にした製品・サービスの価値創造に挑戦しています。それには、単に市場情報に基づく製品・サービス・ソリューションの改良・改善といった方法だけでは本質に迫ることはできません。激しく変化する社会・事業環境に対応しながら、真にお客様が求める現場のニーズを粘り強く探求していくこと、そして、製品のライフサイクル全体にわたって最適なサポートを提供し、世界中のお客様にとって「身近で頼りになるパートナー」となっていくことこそが不可欠です。

製品使用時の環境負荷低減をめざして

世界各地のお客様に、より環境負荷の低い製品をお使いいただくことも、建設機械メーカーとしての私たちの使命です。日立建機グループは、2025年度までに基準年(2005年度)に比べ、製品使用時のCO2排出量を年間350万トン削減という目標を掲げ、環境対応技術の開発に取り組んでいます。目標達成に向けては、主要製品の燃費の改善が重要な取り組みテーマとなります。製品ライフサイクル全体の環境負荷の9割に当たる使用時のCO2排出削減を最重要課題と位置付け、より作業効率の高い環境適合製品や電動化建機の開発などを推進してきました。
主力製品である油圧ショベルにおいては、2006年発売の「ZAXIS-3」シリーズ、2013年発売の「ZAXIS-5」シリーズの2回のモデルチェンジで約20%の燃費改善を達成しています。2015年には、さらなる燃費改善をめざし、北米の最新排出ガス規制(Final Tier4)に適合した「ZAXIS-6」シリーズを北米で発売し、導入を開始しました。また、標準機における燃費改善に加え、ハイブリッド建機、電動・バッテリー建機の進化・拡販にも取り組んでおり、2015年にはハイブリッド式ホイールローダ「ZW220HYB-5B」を開発。これらの取り組みにより、2015年度末時点における製品使用時のCO2排出削減量は278万t-CO2 となりました。2025年度目標は前倒しで達成する見通しで、削減目標を上方修正する検討を行っています。

写真:ZW220HYB-5B
写真:加藤 善久

日立建機株式会社
環境推進室
加藤 善久

「お客様に、より環境負荷の低い製品がお届けできることをめざしています」

日立建機では、建設機械の分野の環境配慮をより進め、環境負荷の低い製品を開発し、お客様に使っていただくために、2000年より「環境適合製品」の制度を取り入れてきました。当社の環境適合製品は、日立グループ共通の「環境適合設計アセスメント」に基づき、減量化、再生資源化、省エネルギー性、環境保全性など8 項目にわたる評価を行い、厳しい基準をクリアしたものです。2015年度末時点で、当社グループの環境適合製品は全製品の92%(売上高における比率)となっています。
燃費や低騒音などの環境性能は、国や地方行政の定める指定工事の入札条件になることがあり、国内では普及が進んでいます。海外においても、各国の排ガス規制や化学物質規制の強化などの規制がますます厳しくなってきています。私たちは環境に配慮することに加え、コストにも貢献する機械がお客様の真のニーズであると考えています。お客様があえて選択しなくても、すべての製品が環境負荷が低くコスト面にも優れた製品になるように、アセスメントの仕組みを通してサポートしていきたいと思います。

ICTを活用した情報化施工で現場の課題を解決

ICTの活用は、お客様の「つかう」を進化させ、さまざまな現場の課題解決に役立っています。「情報化施工」とは、ICTを有効活用して、より高効率・高精度な機械作業を実現する新しい施工方法で、建設・土木業界における熟練者不足や就労者の高齢化が進展する中、作業の効率化や工期短縮、省人化、精度・安全性向上などを実現する手段として注目されています。日立建機では、2016年情報化施工に対応したICT油圧ショベル「ZX200X-5B」を製品化しました。
この新型ショベルは3Dと2D双方の設計データに基づいて操作ガイダンスを提供する「マシンガイダンスシステム」、ショベルの爪先を半自動制御する「マシンコントロール」を搭載しています。
また、アフターサポートの面でもICTの活用に力を入れています。日立建機では建設機械に通信装置を搭載し、稼働状況や位置情報などをリアルタイムに遠隔管理する「Global e-Service」をさまざまな国や地域で運用してきました。この「Global e-Service」を活用し、2013年からは機械の状態・保守管理情報を自動でお客様に提供するサービスプログラム「ConSite(コンサイト)」の展開を開始しました。今後も、日立グループの持つ先端的かつ幅広い技術の強みを活かし、お客様の高度なニーズに沿った技術開発を進めていきます。

写真:ICTの活用

高度車体安定化制御技術とAC駆動トロリーでマイニングダンプトラックの生産性を向上

鉱山の現場で稼働するダンプトラックは、路面の傾斜や凹凸により車体の揺れ動きや横滑りが大きく、安全面で課題を抱えています。こうした課題解決のため、日立建機グループでは、日立製作所と共同でマイニングダンプトラック向けの「高度車体安定化制御技術」を開発しました。これは、鉱山で稼働するリジッドダンプトラック「AC-3」シリーズに搭載しており、各種センサーやレバー、ペダルからの情報をドライブシステムに伝えて処理することで、左右のホイールモータに独立した駆動指示を与える仕組みです。これにより、車体の揺れ動きを低減して荷こぼれを防ぐとともに、オペレータの乗り心地を改善。さらに、走行旋回時の横滑りを防止して安定感のある走行を実現しました。
さらに、環境配慮とコスト向上の観点からダンプトラックの電動化も進化させています。トロリー式ダンプトラックは、荷を積んで登坂する時だけ架線から電力の供給を受け、車載のディーゼルエンジンを使わずにACモータを駆動します。これによって燃費が改善するだけでなく、ディーゼルエンジン式に比べてスピードも上がります。例えば勾配10%の登坂路を往復した場合、標準機と比較して燃料消費量を1/2に低減、約2倍のスピードで走行することが可能となりました。

写真:マイニングダンプトラック

技術の応用と発想の転換でお客様の使い勝手を高める

スペースが限られているトンネル工事などの作業環境では、狭所や高さという制限がある中でも安全で効率的な作業や移動ができる機械が求められます。日立建機ではこうしたニーズを踏まえ、お客様の現場状況に合わせて、さまざまなフロントの長さを持つ応用開発製品、ショートリーチ仕様機を開発してきました。
当初はトンネル工事の現場から開発がスタートしたショートリーチ仕様機ですが、やがて、軽量でコンパクトである、限られたスペースでも効率的に作業できるという特性から、機械を高層ビルの屋上に上げて上層階から建物を解体していく「屋上解体作業用」としても需要が拡大。また、香港、シンガポール、マレーシアなどのアジアを中心とした海外の現場では、主に地下工事で稼働しています。このように、お客様の現場状況に合わせて、ベース機の技術を応用した機能をもたせるなど、用途に合わせた開発を推進しています。
ZAXIS-5型をベースとしたショートリーチ仕様機では、アームの形状やフロントの構造を見直してさらに耐久性をアップさせたほか、できるだけ標準機との部品共通化を図り、短時間でメンテナンスができるようにするなど、ライフサイクルコストの最適化も実現しています。

写真:ショートリーチ仕様機「ZX135USK-5B」

ショートリーチ仕様機「ZX135USK-5B」

「つくば部品センタ」の始動で世界への部品供給を時短

お客様への部品や消耗品の部品供給スピードは、現場の作業効率に影響を与え、機械のライフサイクルコストを大きく左右します。日立建機グループでは、世界各地のお客様に純正部品を迅速・確実にお届けできるよう、グローバルな部品供給体制の再構築を行っています。
2014年4月に開設した「つくば部品センタ」は、日立建機の保守部品物流のマザーセンターの役割を持つ延床面積5万㎡を超える大型物流センターで、部品戦略の中核を担っています。これまで分散していた部品倉庫を集約し、約23万種類にも及ぶ部品の最適管理を実現するため、日立グループ独自の倉庫管理システム「WMS(Warehouse Management System)」を導入しました。このシステムにより、部品の受け入れから出荷までの工程が自動化され、1日5万個の部品供給に対応する力を備えることができるようになりました。バーコードによりすべての在庫を見える化することで、お客様の求める部品を迅速にお届けすることができ、同時に在庫の圧縮、コストの削減が実現が可能になります。今後も同センタを中心に、物流コスト低減と保守サポート体制の強化を図っていきます。

写真:つくば部品センタ