社長メッセージ

世界中のさまざまな現場で、お客様と社会の新たなニーズに応える幅広い価値を提供し、持続可能な社会基盤づくりに挑戦します。 代表執行役 執行役社長兼取締役 平野 耕太郎

「安全」や「品質」が、経営の基盤となる最重要事項

日立建機グループは、2017年度から新中期経営計画「CONNECT TOGETHER 2019」をスタートしました。これは、建設機械のライフサイクル全体に広がるバリューチェーンにおいて、 お客様の期待を上回るソリューション、つまりReliable solutionsを提供することを目標としています。このように、バリューチェーンの強化、拡大に私たちが注力する背景には、建設機械業界を取り巻く環境の急速な変化があります。

2017年4月の社長就任以来、私はお客様、お取引先様、各地の従業員など、さまざまなステークホルダーと対話を重ねてきましたが、現場における工事の進め方の変化、それに携わる皆様の意識の変化は、グローバルレベルで加速していると肌で感じました。そして、お客様が求める次世代の製品、現場変革に寄与するさまざまなサービスやソリューションを提供するという私たちのビジョンに間違いはないと確信することができました。

私は社長に就任する以前も役員として経営に関わってきたわけですが、社長という立場で経営に携わってからは、「安全」と「品質」が最大の関心事になりました。企業ですから、もちろん業績は大切ですが、その業績を支える基盤となるのが安全であり、提供する製品・サービスの品質や業務の質です。
「安全」や「品質」といった経営の基盤となるところを強化・改善していかなければ、私たちのめざす目標とビジョンに近づくことができないと考えるようになりました。

CONNECT TOGETHER 2019 建設機械のライフサイクル全体に広がるバリューチェーンにおいて、お客様の期待を上回るソリューション=Reliable solutionsを提供する

安定した経営基盤の確立に向け、バリューチェーン改革を続行

日本はもちろん、ヨーロッパ、アメリカ、そして中国などのお客様の間では、現場の安全性および生産性をいかに上げていくか、ライフサイクルの中で発生する機械の燃費や修理にかかるコストをいかにコントロールしていくか、この3点が重要な課題となっています。私自身が安全への意識が強くなったのと同様に、お客様は現場をいかに事故なく、効率よく運営していくかが非常に重要だと感じています。
私たちは、お客様の要望にあった、安全な工事運営ができる建設機械、現場のコスト削減に貢献する低燃費で生産性の高い建設機械を提供しなければいけません。そして、現場の安全性、生産性を高めるためには製品の性能を改善するだけでは十分ではありません。現場の機械や運営を最適にコントロールするソリューションや、ファイナンス等も含めたライフサイクルコストの低減策といったことをお客様に提供してこそ、お客様の課題の解決につなげることができます。

また、インドなどの新興国では、国家的な戦略のもとでの資源開発、グローバル企業誘致のためのインフラ整備や環境規制の整備が急速に進んでいます。広大な国土に開発すべきエリアが膨大にありポテンシャルも非常に高い国では、環境規制をクリアするクリーンな機械、人手不足の問題を解消するAHS (Autonomous Haulage System:自律走行システム)化したダンプトラックなどに関心が集まっています。
日立建機グループは、これらの各国、各経済圏のニーズの変化をいち早く察知し、お客様の要望に沿った製品、サービスやソリューションを提供することにより、本中期経営計画初年度である2017年度に、2019年度目標値を上回る実績を達成することができました。
しかしながら、先にも述べたように、中期経営計画のめざすところは数値だけではなく、バリューチェーンの強化、拡大であり、経営基盤の本質的な改革にあります。それが実現した時に初めて目標を達成できたといえると考えています。
その目標のひとつとして、製品以外の事業(バリューチェーン)の売上比率50%を掲げていますが、2017年度では40%程度です。これらも含めて、今後も、当社グループが目標とする事業構造への変革の実現をめざしたいと思っています。

バリューチェーン事業構成イメージ

バリューンチェーン改革で、社会課題の解決の接点も広がる

私たちがお客様に提供する製品・サービス・ソリューションで環境負荷の低減を図ることは、「安全」、「品質」と同等に重要です。これまでの建設機械の進化の過程と、土木建設業界やマイニング業界の発展の歴史を振り返ってみても、社会全体の持続的な発展に役立つ価値を提供しなければ、私たち企業は社会から認めていただけず、発展することもできなかったと強く感じます。
国連のSDGs合意、COP21※1のパリ協定採択などを受け、2015年度に当社グループの事業と環境や社会課題との関係について改めて評価を行い、CSV(Creating Shared Value)へのアプローチ として「グローバル環境課題の解決」、「社会基盤を支える現場力の強化」、「コミュニティの発展への貢献」という3つのテーマを掲げました。
さらに2016年度からは、これらのテーマごとに重点施策を策定し、個別の目標と中長期のKPI(重要業績指標)の設定を行いました。中でも製品による環境負荷の低減については、2030年に 2010年比で温室効果ガスを33%削減するという目標を掲げています。

当社の事業において、温室効果ガスの多くはお客様に提供する製品の使用過程で排出されます。従って、各国の排出ガス規制に適合する製品を提供することは言うまでもなく、環境性能の高いハイブリッド機やサービスソリューションの開発、お客様の生産現場で生じる無駄なエネルギー消費を低減する仕組みの提供を加速しています。
例えば、私たちが提供するICT・IoTソリューション「Solution Linkage※2」では、「i-Construction※3」に対応したソリューションや鉱山現場のAHSダンプトラックなどをお客様に提案していますが、これらは建設機械の効率的な運用と燃費改善に寄与します。
ダンプトラックの場合、人が運転をするとブレーキのかけ方、スピードの出し方などにバラつきが生じますが、無人の自律運転にすることによって、バラつきを均質化することができ、タイヤの減り方、燃費を低減することができます。
また「i-Construction」対応では、3次元設計データを建設機械に取り込み、半自動で掘削を行うシステムを導入したICT油圧ショベルを販売しています。これにより工程を短縮できる上、掘り過ぎによる埋め戻しなどの無駄な作業が減り、生産性と燃費効率が同時に向上します。
さらに、昨年10月から欧州で、日本では2018年度から提供を開始した新たなソリューション「ConSite OIL(コンサイト・オイル)」は、エンジンオイルや作動油の状況をセンサで監視し、異常値を検知した際はお客様と代理店へ自動で知らせ、機械のダウンタイム低減につなげます。

このように、従来は、機械本体の燃費改善こそが最大の環境対応策でしたが、現在は、建設機械の動かし方やコントロールの工夫によって環境に大きく貢献できるようになり、さらにはお客様の働き方改革にもつながっています。
日立建機グループが製品だけではなく、使い方や現場全体の管理・運用の仕方に踏み込んで価値を提供していくことによって、お客様と一緒に社会課題に取り組んでいく接点が広がりました。
それからもうひとつ、電動式の建設機械への対応があります。現在は商用電源を使いケーブルをつないで動かすものが中心ですが、ミニショベルなど小さい機械であれば、そう遠くない将来にはバッテリだけで動くものに変わっていくかもしれません。電動化の流れに対しては、日立グループが取り組んでいる鉄道や自動車部品事業の技術を生かせることが、大きな強みと思っています。

※1 COP21
2015年11月30日からフランス・パリで開催された気候変動枠組条約第21回締約国会議。京都議定書が失効する2020年以降の枠組である「パリ協定」が世界196の国と地域によって採択された。開発途上国も含めて温室効果ガス削減を約束するのは初めてとなる。

※2 Solution Linkage
お客様の課題である「安全性向上」、「生産性向上」、「ライフサイクルコスト低減」をお客様とともに解決する日立建機のICT・IoTソリューション。課題解決にあたっては、日立建機を中心に、日立グループの幅広い先進技術である〝One Hitachi″ や、ビジネスパートナーとのエキスパート技術を融合した〝オープンイノベーション″を活用して提案する。

※3 i-Construction
ICTを活用して土木・建設現場の生産性と効率を向上させ、企業の経営環境の改善を通して、 建設現場に携わる人の賃金水準の向上と安全性の確保を推進する、国土交通省の取り組み。2015年12月、i-Construction委員会が発足し、建設機械や測量へのICT導入と併せて、規格の標準化、年間の施工時期の平準化などの基本方針が示された。2016年度から、国土交通省の直轄工事で導入が始まっている。

歴史の中で貫かれたスピリットが最大の強み

日立建機グループは、2020年に建設機械を量産、販売開始して70年、日立製作所から分離独立して50年という節目を迎えます。
戦後間もない頃、当社は独自の技術によって日本の復興に貢献していこうと建設機械の開発・生産・販売に乗り出しましたが、その起源となったのが、日立創業の精神である「和」「誠」「開拓者精神」です。
この精神は私たちのアイデンティティーとして受け継がれ、現在では、日立建機グループの価値基準・行動規範である「Kenkijinスピリット」の3つのC、 Challenge、Customer、Communicationの思想に貫かれています。失敗を恐れず、チャレンジングな精神を持ってお客様や社会の声に真摯に耳を傾ける、このような従業員が世界各地で、カスタマーファーストで企業活動を行っていることが当社グループの最大の強みです。
そして日立グループの精神のみならず、大きなブランド力と厚みのある技術リソースを保有していることは、言うまでもなく私たちの大きな強みとなっています。さらに70年間、一緒にモノづくりを行ってきたサプライヤー、販売・サービスを行ってきた代理店、機械をお使いいただいているお客様、世界各地に広がるこれらのステークホルダーと築いてきた信頼関係そのものが私たちの強みであると思っています。

当社グループが「Kenkijinスピリット」を設けたことには理由があります。創業から高度成長期を経て1990年代までは、当社グループのビジネスの中心は日本人であり、日本のマーケットでした。ところが1990年代途中からグローバル化の波が訪れ、瞬く間に拡大し、お客様はもちろん作り手、売り手とも海外の人が増えていく状況が広がっていきました。
そのような中で日立建機グループの基本的なアイデンティティーが希薄化してきているのではないかという懸念が生まれました。例えば、日本人であれば、「日立」と聞いただけで持つ企業イメージというものがありますが、海外の人は日本人が感じるそれらの暗黙知を認識しておらず、そのことがグループとしての一体感のなさの原因のひとつになっていると感じました。当時も、もちろん企業理念は存在していましたが、やはり日本人だけでなく、多国籍な人財に通じる行動指針のようなものを作っていかなければ、組織としてひとつになれないのではないか、そうした考えから2006年、日本人だけの暗黙知だったものを3つの言葉に集約し、「Kenkijinスピリット」の3つのCが生まれたのです。
現在の従業員は約24,000名、日本人よりも外国人の方が多い企業グループへと成長しましたが、この「Kenkijinスピリット」を世界のグループ力を強めていく指針とし、私自身あらゆる機会を通じて、努めて社内に発信を行っています。

「Kenkijinスピリット」の3つのC

3C:Challenge チャレンジ精神/Customer 個客志向/Communication 風通しの良さ

市場が変わり、職場が変わる、その変化を挑戦の活力に

市場が変わり、組織を変えようとする過程では、一人ひとりの従業員も変わらなければなりません。当社グループでは、さまざまな国籍を持った従業員が世界各地で働き、ひとつの目標に向かっていますが、地域ごとに法律や文化もさまざまであり、働き方の概念も異なっていて当然です。
大事なことは、「このような働き方で」という一律のルールを設けることではなく、各地の人々が働きやすい環境を整備していくことだと考えています。働き方への価値観の違いは、国や地域だけでなく、年代によっても存在します。
例えば日本でも20代の人と50代の人とでは、心地良い働き方というものは大きく異なります。つまり、地域や国籍、年齢、性別などの違いによらずに、日立建機グループで働くことで喜びを感じる、ワクワクできる、それぞれの人が持つ個性や力がこれまで以上に発揮できるような環境を実現していくことが、今、当社が取り組むべきことだと認識しています。

本年4月から、日立建機オーストラリアの社長であるデイビッド・ハーベイが、新たに日立建機の執行役に就任しましたが、日本的な考え方とは異なる考え方、視点がグループの経営に加わることにより、従業員の働き方や意識改革を進めていく上でも非常に大きなプラスになると期待しています。
また、ダイバーシティ推進の一環として、女性・マイノリティ活躍支援にも従来から取り組んできましたが、モノづくりの現場での女性の活躍推進は、まだまだ取り組みの強化が必要であると感じています。少子高齢化、働き手の不足という社会状況を踏まえると、女性や高齢者が働きやすい環境づくりに向けた現場改革を進めていくことは、当社の生産性向上と持続的な成長の観点からも急務であると認識しています。

冒頭にも申し上げたように、グローバル市場は近年、非常に大きく変化していますが、建設機械市場は特にその変化のスピードが速いのではないかと実感しています。お客様の変化に伴い、技術が速いスピードで進化しており、ビジネスの提供価値も急速に変化しています。
そのような中で日立建機グループとしては、私たちに根付いた「Kenkijinスピリット」を持って自らを変化させ、これまでにない挑戦への活力に変えていこうと決意しています。そしてその決意が、私たちの節目の年である2020年を超えて、さらに先の未来を切り拓く鍵になるであろうと確信しています。

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