社長メッセージ

バリューチェーンの改革によって、お客様とともに持続可能な社会に向けて行動していきます。

お客様の意識の変化に応え
バリューチェーン事業を深化

ここ数年、市場におけるお客様の意識が急速に変化していることを感じます。それは、建設・マイニング現場の「安全性向上」「生産性向上」「ライフサイクルコスト低減」という建設機械メーカーに対する主要な3つのニーズが、SDGs(持続可能な開発目標)やESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みといったグローバルな課題や要請と、ますます結び付きを強めているという点です。例えば、現場の安全性は人々の働きがいに直結するものですし、現場の生産性が向上して今まで5日掛かっていた仕事が3日や4日で終わるようになれば、電気や水などさまざまな資源を節約することができます。ダンプトラックや油圧ショベルの燃費などのライフサイクルコスト低減は、直接的にCO2の削減につながるでしょう。

また、建設機械の使い方に対する意識にも変化が見られます。これまでは、お客様が保有している建設機械が、例えばその現場に対して多少大き過ぎてもそのまま工事で使われる場合がありましたが、最近では現場に合った小型・中型の建設機械を「レンタルする」といったケースが顕著に増えてきました。このような、建設機械の使い方に対する意識の変化は国内のみならず、中国など成長著しい国でも見られるようになっています。

こうした世界的な変化に対応するため、日立建機グループは2017年度からの中期経営計画「CONNECT TOGETHER 2019」で製品以外の事業(バリューチェーン事業)の深化に取り組んでいます。本中計のめざすところは、建設機械のライフサイクル全体に拡がるバリューチェーンにおいて、お客様の期待を上回るソリューション「Reliable solutions」を提供することにあります。例えば、部品の交換・再生を行うことによって、より長く良好な状態で機械を使っていただくソリューションの提供、稼働している機械の状況を把握することで効率的な使い方をしていただくための提案、必要な時に最適な機械をタイムリーに供給できるレンタルの仕組み(レンタル事業の拡充)などが挙げられます。

さらに、本中計では国内主要工場の再編に着手しました。これは、グローバル競争力の強化に向けた開発・生産体制を整えるとともに、働き方改革とダイバーシティの推進を目的としています。近年、若い働き手の不足が深刻な問題となっており、女性・男性とも50代・60代まで現場の第一線で活躍してもらえるような、安全で働きやすい環境づくりが急務となっています。まずは国内での実績を積み上げ、中国やインドネシアなどの海外生産拠点にも展開していきたいと考えています。

これらの取り組みを深化させていくことが、取りも直さず、結果的にSDGsやESGへの取り組みといった、社会から求められている課題の解決に結び付いていくのだと確信しています。

お客様との協創で
環境・社会課題の解決に応える

2018年を振り返ってみると、まず頭に浮かぶことは気候変動に起因する世界的な自然災害の多発です。地震、津波、台風、豪雨などの脅威にどう備えていくべきかは、私たちのお客様はもちろん、国家にとっても大きな課題です。自然災害が地域の生活や経済に及ぼす影響はあまりに大きく、復興には相当の時間が掛かります。災害が起こってからではなく、起こる前に防災力を高める対策こそが重要であり、日本では2019年度にそのための公共投資予算も増額されています。インフラを新たに作ることに頼るのではなく、今あるものをしっかりとしたものに改修していく必要性は今後ますます高まっていくでしょう。日立建機グループとしても、インフラのメンテナンスや補修・補強工事に対応する製品・サービスの開発と供給を急ぐべきだと考えています。

こうした社会環境を踏まえ、私たち建設機械メーカーに求められているのは、現在の技術の延長線上で改善できる以上のもの、つまり、改善ではなくイノベーションであると捉えています。SDGsが掲げる各目標、気候変動問題への対策など、社会からの要求はますます高くなり、さらなるスピードが求められるようになりました。例えば、建設機械の電動化にしても、いつ開発するのか、いつ市場に出るのか、といった答えを求められます。そこで、私たちはそのスピードに対応するため、開発プロセスそのもののイノベーションに着手しました。具体的には、2018年10月からドイツにマーケティング・開発会社を設立し、電動のコンパクト機を実際にお客様に使っていただき、現場の声や要望を伺いながら進化させていくという開発プロセスの導入を試みています。従来の開発プロセスでは、日本の研究・開発本部で何年も掛けて作り込みを行った上で世界中のお客様へお届けしていましたが、それでは間に合わないケースがあります。基礎や要素などの根本の部分はしっかりと日本で研究、開発を続けていきますが、今後は世界各地のお客様と一緒になってスピーディーな開発を実現していく必要があると考えています。

また、自前の技術だけでは開発に時間が掛かりすぎます。例えば、建設機械メーカーだけでリチウムイオンバッテリーや水素燃料といった基礎技術の開発をスピーディーに進めることは困難です。そのため、産業界全体、特に自動車・トラック業界の技術と歩調を合わせ、うまく取り込んでいくことが早期に技術的なイノベーションを実現する鍵になります。付け加えると、新たな技術を現場に落とし込む点では、一般の自動車よりも建設機械の方が早く実現できます。自律走行技術を例に挙げると、人がハンドルに一切触らない、あるいはハンドルがない自動車を走らせるのは、一般の道路では難しいでしょう。ところが、ダンプトラックの自律走行はオーストラリアで実証実験をすでに開始しています。なぜならば、使用現場が特定でき安全が確保できるからです。

こうした建設機械の技術革新やi-Construction※1は、現場の作業を効率化するだけでなく、さまざまな変化をもたらします。「現場のオートメーション化やコンピュータ化に真剣に取り組んでいない会社には、良い人財が入ってこないし、定着しない」という、お客様の声を聞きます。これまでの建設現場は女性が入りにくい環境でしたが、今ではドローンを飛ばしてデータを収集したり、そのデータを解析したりするとなると女性が大いに活躍しています。新技術の導入が、すなわち人財の採用や教育などの課題解決にもつながるのです。私たちは、施工現場における課題を、お客様とともに解決するICT・IoTソリューション「Solution Linkage※2」を進化させることで、お客様に新たな価値を提供していきます。

※1 i-Construction
ICTを活用して土木・建設現場の生産性と効率を向上させ、企業の経営環境の改善を通して魅力ある建設現場をめざす、国土交通省の取り組み。

※2 Solution Linkage
お客様の課題である「安全性向上」、「生産性向上」、「ライフサイクルコスト低減」をお客様とともに解決する日立建機のICT・IoTソリューション。課題解決にあたっては、日立建機を中心に、日立グループの幅広い先進技術である“One Hitachi”や、ビジネスパートナーとのエキスパート技術を融合した“オープンイノベーション”を活用して提案する。

2018 年7 月に東京ビッグサイトで開催された「i-Construction 推進展」にて

2018年7月に東京ビッグサイトで開催された「i-Construction 推進展」にて

アウトサイドインの視点から、
ビジネスチャンスを創出

2019年4月、バリューチェーン改革のスピードアップを目的に組織改正を実施しました。まず、CSRや環境・社会課題に関する施策を全社統合的に進めていく「サステナビリティ推進本部」を発足しました。これは、経営上で重要な取り組みのすべてにおいて、社会や環境の視点を重視した考え方を取り入れていくことが、今後ますます必要になると考えたためです。以前であればコストと捉えがちだった社会課題への対応が事業と一体のものであり、SDGsやESGへの取り組みをビジネスチャンスと考えるようになったという変化の表れです。さらに、これまで開発生産部門の傘下にあった「品質保証本部」と、商品戦略に関する業務を「マーケティング本部」として、いずれも社長直轄の組織としました。品質に対するガバナンスを、さらに強化するということと、世の中の動向やお客様の声を素早く事業に展開することを目的としています。社会課題から自社の役割を認識するアウトサイドインの視点で我々の事業を改革し、お客様とともに拡大をしていくという捉え方、一つでも二つでも先んじた対応が大切だと考えています。

この組織改正によって当然、従業員の意識は変わっていくことでしょう。しかしながら、大切なのは外部からの意見を積極的に取り入れていくことです。日立建機グループの価値基準・行動規範である「Kenkijinスピリット」の3つのCの一つにCommunicationがありますが、常に感度を高く持って人の話を聞き、仮説を立て、自分なりに考慮し、自分の仕事に落とし込んでいくことが、バリューチェーンの各段階でますます重要になってきます。個々の従業員がこのようなプロセスを実現していくことによって、当社グループの可能性も無限に広がっていくと信じています。

「Kenkijinスピリット」の3つのC

3C:Challenge チャレンジ精神/Customer 個客志向/Communication 風通しの良さ

ステークホルダーの皆様とともに、
持続可能な社会に貢献

建設機械は世界的に見て市場規模が拡大しています。というのは、10年、20年前から中国やインドなどが急速な経済成長に突入し、道路や鉄道など社会インフラの拡充が進んできたことによります。そのような成長のピークはすでに終わったのかというとまだまだで、まだ手が付けられていない地域はたくさんあります。アフリカや中央アジアなど、まだこれから発展していく国や地域もあります。

日立建機グループはこの間、建設機械の性能の向上を図り、機体をスマートにし、環境対応を休むことなく進めてきました。また、1台1台の効率化を進めるだけでなく、それが10台、100台になっていった時でも、お客様の利益と価値をさらに高めるソリューションの提供を考えてきました。私たちは建設機械の性能を十分に発揮し、環境的・経済的に効率良く使っていただくコンサルティングをしていかなければなりません。これはもちろん、ビジネスにおけるチャンスであり、SDGsやESGへの取り組みなどによる価値創造にも自然とつながっていくと考えています。

将来、まだインフラの整備が進んでいない地域で建設機械が増えてきた時には、これまでに培ってきた先進国での取り組み、それを展開した新興国での取り組みによる知見を生かして、さらに深化したバリューチェーン、ビジネスモデルを提供できることでしょう。そして、それは建設機械メーカーだけで実現できることではなく、持続可能な社会の実現という共通のゴールに向けて、お客様をはじめとするステークホルダーの皆様と一緒になって初めて実現できることなのです。

私は建設機械を生活のそばにある身近なものだと思っています。身の回りの現場で多くの人々が建設機械を使って生活に必要なインフラや建物を作っています。だからこそ、私たちが社会に与える影響もまた大きなものです。日立建機グループは2020年に建設機械の開発・生産・販売・サービスを始めて70年、日立製作所から分離独立して50年という節目を迎えます。私たちは2020年のさらにその先を見据え、これまでにない挑戦をしていこうと決意しています。日立建機グループは世界のステークホルダーの皆様とともに未来を描いていきたいと思っています。

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