社長メッセージ

はじめに

新型コロナウイルスの感染拡大による影響が世界各地に広がっています。お亡くなりになられた方々に謹んでお悔やみ申し上げますとともに、罹患された皆様、困難な生活環境に置かれている皆様に、心よりお見舞い申し上げます。また、医療従事者の皆様をはじめ、社会基盤を支えられている皆様には心からの敬意を表し、深く感謝申し上げます。
2020年8月現在も未だ感染拡大が続いており、社会、経済の動向も先行きが不透明な状況です。そのため、2020年度から始まる中期経営計画については、目標値および詳細な施策の発表を見合わせておりますが、当面は変化する事業環境への対応を徹底してまいります。

70年かけて積み上げてきた当社の強みと競争優位性

日立建機は2020年、建設機械の本格生産を始めて70周年という節目を迎えました。その歴史を改めて振り返ってみると、それぞれの時代の社会課題と常に向き合いながら、成長を続けてきた企業であったことに気づかされます。

1950年当時の日本は、戦後の混乱がようやく収まり始め、国土再建、経済復興に乗り出した時代でした。道路や河川の整備をはじめ、膨大な数の建設・土木事業が各地で立ち上がったため、工事の機械化による施工効率化と工期短縮は、国・業界を挙げて取り組まねばならない喫緊の社会課題でした。その期待に応えるべく、日立建機の前身である日立製作所の建設機械部門が、日本で初めて純国産技術による機械式ショベルを開発し、量産化に乗り出したのです。

当社の生み出した建設機械は、多くの都市インフラの整備に活躍して国内産業の発展を支え、多くのお客様からの信頼を獲得し、そして、グローバル化の到来とともに世界中で求められるようになりました。特に1990年代に入ってからの中国、インドをはじめとする新興国市場におけるニーズの拡大は目覚ましいものがありました。

さらに、1990年代後半から地球温暖化をはじめとする環境問題がクローズアップされるようになると、環境に配慮した製品が求められるようになりました。当社はここでも、ハイブリッド建機や電動化建機などの環境技術を駆使した製品を開発し、社会からの期待に応えてきました。近年では、世界各地で頻発する自然災害に対し、災害状況に応じた機械を提供することで、被災地の復興に貢献しています。

このように、時代ごとの社会課題と真摯に向き合いながら、日立建機が培ってきた知見と技術、そして日立グループの総合力を結集したイノベーション“One Hitachi”によって解決することで、社会からの信頼を積み上げてきました。これこそが、当社グループの大きな強みであり、市場における競争優位性であると認識しています。

前中期経営計画で成し遂げたこと

2017~2019年度までの中期経営計画「CONNECT TOGETHER 2019」では、建設機械のライフサイクル全体で、お客様の期待を上回る新しいソリューションを提供することに注力してきました。具体的には、世界各地で稼働する機械をターゲットとした部品・サービス、中古車、レンタル、部品再生、ファイナンスなどのバリューチェーン事業の強化を行い、収益構造の安定化を図りました。その結果、バリューチェーン事業の売上構成比率は35%から41%と拡大し、売上および利益の成長に大きく貢献しました。

こうしたバリューチェーン事業をより深化させるには、お客様の声がよりスムーズに伝わるような組織づくりや時代に合った開発・生産体制、サプライチェーンの最適化が不可欠です。そこで、バリューチェーン事業の強化と並行してグローバル体制再構築に取り組み、日本を含む世界各地の拠点の事業構造を抜本的に見直し、経営の効率化に努めました。2019年度末時点で、海外の工場再編や拠点の統廃合をほぼ終え、現在は日本国内の開発・生産拠点の再編に取り組んでいます。また、これまで開発・生産部門の傘下にあった品質保証本部を社長直轄の組織とすることで、品質保証に対するガバナンスをさらに強化しました。こうした取り組みのもとで、利益水準を向上させ、市場環境の変化に強い開発・生産体制の確立をめざしています。

With/Afterコロナの環境下では、世界的な景気不透明感から新車需要は減少すると予想されます。お客様は機械の調達や使い方に対して多様な選択肢を必要とされるでしょう。特に、施工期間などに合わせて最適な機械をリーズナブルに調達できるレンタル、適切なメンテナンスが施された高い品質の中古車などは、これまで以上に市場の活性化が見込まれます。そうした中で、私たちのバリューチェーン事業は、ますます存在感を増してくると考えられます。そこで今後は、最新のICT技術を駆使したサポートサービス「ConSite®」を中心に、バリューチェーン事業の売上構成比率をさらに伸ばしていきたいと考えています。そして、デジタルトランスフォーメーションをキーワードに建設機械メーカーの枠組みを超えたソリューションを拡充していくことが、当社グループの次なる成長ドライバーになると確信しています。また、組織体制の再構築についても、引き続き開発・生産部門の統合等を進め、部品から完成品までの一貫生産を実現し、より高効率で強靭な組織体制の確立をめざします。

2030年のビジョン達成に向けた社会価値・環境価値の最大化

当社グループは、企業ビジョンである「豊かな大地、豊かな街を未来へ… 快適な生活空間づくりに貢献する日立建機」のもと、2030年に向けた持続可能な社会の実現をめざしています。このビジョンを実現するために必要なことは、当社の事業価値を含む経済価値の向上だけでなく、社会価値・環境価値の最大化を追求することだと考えています。

当社グループでは、多岐にわたる社会課題・環境課題の解決のために、自らがどのように貢献し、何をやらなければならないのかを捉え直し、10年後、20年後のあるべき姿を検討してきました。私たちが提供する価値の中心となるのは、やはりお客様の現場が抱える課題である「安全性向上」「生産性向上」「ライフサイクルコスト低減」、そして国際社会全体の課題である「地球温暖化の防止」であると考えます。この課題を解決するため、このたび2030年のあるべき姿からバックキャスティングして、2022年の中期目標を掲げました(下図)。取り組みの焦点をより明確化し、推進を加速させることが目的です。

例えば、鉱山現場における「安全性向上」では、鉱山用ダンプトラックの無人走行という新たな世界を切り拓いた自律走行システム「AHS(Autonomous Haulage System)」があります。これには世界の鉱山で培ってきた日立建機グループの技術が生かされており、2020年には既にホワイトヘイブン社のモールスクリーク石炭鉱山でAHS搭載のリジッドダンプトラック6台が自律走行を開始しています。また、「地球温暖化の防止」に寄与する技術開発では、2018年にドイツに設立したマーケティング・開発会社(EAC社)と日立建機ティエラが連携して、バッテリー駆動式ミニショベルの新たな試作機を開発し、2019年12月に発表を行いました。

このように、2030年のあるべき姿からバックキャスティングして、社会・環境への貢献を考え、価値創造のストーリーを描くことが、すなわち当社グループにとっての「勝ち」創造につながると考えています。そして、それを具現化するために必要な技術や人的資源などのリソースを獲得するためのM&A(クロスボーダーM&A)、オープンイノベーションなどにも今後の市況を踏まえながら取り組んでいきます。

社会に必要とされる企業であるためのESG指標

SDGsを中心としたサステナブル経営への変革

当社グループの掲げる2030年の達成ビジョンは、SDGsがめざす持続可能な社会とも合致するものです。2015年度、事業活動と社会課題の重要度(マテリアリティ)を特定し、「CSR重点取り組みテーマ」として推進してきましたが、2018年度からはSDGsとの関係性を改めて整理し、CSR重点取り組みテーマとの関連が深い10個のSDGsゴールを主要取り組みテーマとして設定しました。そして、SDGsへの貢献を一層強化していくために、2019年4月にサステナビリティ推進本部を立ち上げました。これは、これまでの環境本部とCSR推進部を統合し、SDGsを本格的に推進していくための組織で、このたびの目標設定もこの組織が中心となって進めてきました。

また、経営の舵取りを担う私自身、グローバルの潮流としてESG投資の機運とともに、非財務的な企業価値の重要性が高まっていることをひしひしと感じています。当社グループのガバナンス体制においては、このたび、取締役会の透明性と実効性の向上をめざし、社外取締役を4名へと増員しました。今後さらに多様な観点から企業価値向上に向けた議論が活発化することを期待しています。

SDGs主要取り組みテーマ

2030年、2050年の未来に向けて

先に述べた通り、2020年は当社グループにとって生産開始70年目となる記念の年ですが、年初から発生した新型コロナウイルス感染症は世界的に猛威を振るい、人々の生活や経済に甚大な影響をもたらす状況となっています。この歴史的危機ともいえる事態を前に、社会の動向を的確に捉えながら自らを変革し、持続的な価値を提供できる企業こそが、社会に必要とされると改めて認識を強めました。

当社グループは、約25,000名の従業員の半分以上が外国籍の社員であり、多様な文化、価値観で構成されている企業です。この多様性によるしなやかさに加え、「Kenkijinスピリット」という共通の価値観を持っています。全世界に広がる従業員が互いに協調し、お客様目線で日々の仕事に挑戦できていることは、かけがえのない誇りであり、何よりも大きな力です。

70年かけて築き上げられてきたこの企業文化に磨きをかけ、私たちは未曽有のグローバル課題に立ち向かってまいります。お客様、ステークホルダーの皆様とともに持続可能な未来を描くため、今はしっかりと事業運営を進めてまいりますので、今後ともご支援のほど、よろしくお願いいたします。

当WebサイトはCookieを利用しています。

当Webサイトの利用により、お客様は当社および第三者がCookieを利用することに同意したとみなします。Cookieに関する詳細は「個人情報保護方針に関して」をご一読ください。