CSVテーマ1 グローバル環境課題の解決

深刻化する地球規模の環境問題の解決に貢献する企業経営がますます重要になっています。日立建機では事業全体で環境負荷を低減するとともに、建設機械の提供を通じて、気候変動などに対応できるインフラの構築に貢献していきます。

重点取り組み

  • 製造プロセスの環境負荷低減
  • 環境適合製品、低炭素建機、解体、リサイクル機の開発・提供
  • ICT・IoT技術の活用
  • 災害復旧、減災への適応
  • 環境配慮型の鉱山運営ソリューション
  • グリーンインフラソリューション

環境方針と長期目標

日立建機グループの環境方針は、「つくる」「つかう」「挑む」の3つのスコープで長期的な価値創造の取り組みを行い、グローバルな環境課題の解決へ貢献することをめざしています。
「つくる」では、自社工場だけでなくサプライヤーも含めて環境負荷を下げるための生産体制の構築を進めています。「つかう」では、ハイブリッド化や情報化施工といった効率化技術によるCO2削減、製品のリサイクルなどによる廃棄物削減に貢献しています。「挑む」では、グローバルな環境課題への適応、サービスの創出、グループ内外のパートナーとのオープンイノベーションの展開により、事業機会の拡大をめざします。
2016年度は、2020年、2030年それぞれのターゲットに向けて高い目標を掲げました。これらは、SDGsがめざす地球規模の気候変動をはじめとする環境課題の解決に貢献できる目標となっています。日立建機グループは、グローバルで展開する建設機械メーカーの社会的使命として、この長期目標の達成に向けて着実に取り組みを進めていきます。

図:2030 CSV GOAL

生産工場での省エネ活動

「2030 CSV GOAL」では、日立建機グループ全体で2030年に向けてエネルギー原単位で40%、廃棄物原単位で40%、水原単位で50%の改善率(2005年比)をめざし、製造プロセスにおける環境負荷低減のさまざまな取り組みを推進しています。
一方、茨城県内の5工場(KCM龍ケ崎工場を含む)では、「2016年度までにエネルギー使用原単位を2010年度比で30%改善する」という目標を掲げてきましたが、自主的な削減活動によって着実にこれを達成しました。

日立建機の使用エネルギー削減の取り組み

日立建機では、2014年度からピーク時電力と総電力使用量の削減を図るため、3カ年計画の「エネルギー政策プロジェクト」を実施し、茨城県内の5工場(KCM龍ケ崎工場を含む)を対象に積極的な省エネ対策を進めています。
2017年3月には、常陸那珂工場に排熱回収設備を導入しました。小型熱供給(マイクロコージェネレーション)システムでは、工場内に電気を供給するほかガスの気化装置の熱源としても活用し、年間124.6メガワット時の電力が削減できる見通しです。土浦工場でもすでにコンプレッサーから発生する排熱を暖房に生かす仕組みや、地下水を利用した冷房熱に生かす仕組みを、ショベルの部品としているラジエータを利用し、運用しています。こうした未利用エネルギーの有効活用を重要な省エネ対策のひとつとして位置付け、取り組みを進めています。
また、実験的に、霞ヶ浦工場に導入した熱交換器では、これまで大気中に排出していた鉄部品の強度を上げる焼き入れ工程で使う「バーンオフ炉」の排熱を、油の蒸留装置に使用する電気ヒーターの熱源に再利用することも検討中です。
「エネルギー政策プロジェクト」では、工場内の待機電力を削減する取り組みも進めています。2016年度は、日立のIoTプラットフォーム「Lumada(ルマーダ)」のソリューションコアのひとつであるエネルギーマネジメントシステム「EMilia(エミリア)」を導入しました。「EMilia」は、多拠点における設備単位の電力情報をリアルタイムで「見える化」し、将来の運転方法や自動制御方法などを分析・診断することが可能で、待機電力の削減につながります。また、効率的なエネルギー使用を実現することから業務の高効率化にもつながっています。
さらに、国内製造グループ各社では、電力需要が集中する時間帯の電力量を抑える「ピークカット」による省エネ活動を推進しています。土浦工場ではコンベンションホールにて電力消費ピーク時に、太陽光発電と夜間に充電を行った電気自動車蓄電池から電力を供給し、ピークカットを行っています。その結果、最大35%のピーク時電力量を削減することができました。また、この取り組みは停電など緊急時の電力供給などBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)にもつながっています。

写真:土浦工場の排熱を工場内空調に再利用するユニット

土浦工場の排熱を工場内空調に再利用するユニット

写真:設備単位の電力状況が把握できる「EMilia」

設備単位の電力状況が把握できる「EMilia」

廃棄物削減の取り組み

日立建機グループの各生産拠点ではゼロエミッション活動を推進しています。日立建機グループのゼロエミッション達成基準は、最終処分率(埋め立て処分量/廃棄物等発生量)0.5%未満というものです。2016年度時点で国内で8拠点、海外で3拠点がゼロエミッションを達成しています。
また、廃棄物適正処理に関わるコンプライアンスレベルの高位平準化と管理業務の高効率化を目的に、廃棄物管理のIT化を推進しています。そのため電子マニフェスト発行率の向上に取り組んでおり、国内9拠点の生産工場で100%電子マニフェスト化を達成しています。

水使用量削減の取り組み

気候変動や世界的な人口増加などを背景とした水資源のひっ迫が世界的な課題となっています。日立建機グループでは、すべての生産拠点の水ストレスレベルを定量化するとともに、水資源の効率的な活用と水使用量の削減に取り組んでいます。
例えば、水リスクの高い地域にある日立建機インドネシアでは、2012年度より「RO(Reverse Osmosis:逆浸透)膜」浄水装置を導入しており、電着塗装の妨げとなるミネラル分を取り除くことで塗装品質を安定させ、水使用量の削減につなげています。また、循環水処理装置により使用後の水を再利用することで、2016年度は前年度に比べ、水使用量原単位で約22%削減しています。

ハイブリッド油圧ショベル「ZH200-5」の環境効果

建設機械は、鉄道や上下水道、電力などの社会インフラの整備に欠かせません。一方で、油圧ショベルを使用する時に生じる温室効果ガスの削減をはじめとする地球温暖化対策は、建設工事の現場においても喫緊の課題です。
日立建機のハイブリッド油圧ショベル「ZH200-5B」は、燃料の消費を抑えながらも、標準機(ZX200-5B)と同等の性能を備えた新世代ハイブリッド機です。電動モータ一体型の旋回装置が減速する時に旋回エネルギーを回収・発電してキャパシタ(蓄電器)に蓄電し、加速する時には油圧モータをアシストします。アシスト発電モータは油圧ポンプと接続して発電したり、動力を補助したりしてキャパシタの電気エネルギー量を調整します。これらの仕組みにより、ZX200-3に比べて燃料の消費を約30%低減しています。
また、低燃費化に大きく貢献しているのが省エネ油圧システムです。3ポンプ、3バルブの油圧システムに電子制御の新たな機能を加えることで、よりきめ細やかな出力の制御が可能となり、油圧のロスを減らすことができます。

国内での導入事例

株式会社アースクリエイト様(岡山県小田郡)

山砂や真砂土の販売、残土リサイクル、解体工事、中間処理など多岐にわたる事業を展開する株式会社アースクリエイト様では、年間4~5台の新機種を入れ替えて使用しています。今回の入れ替えで代替機に求めたのは燃費性能の良さ。導入機選定に先立ち、これまで使用していた標準機の「ZX200-3」、「ZX200-5B」、日立建機のハイブリッド機「ZH200-5B」、他社製ハイブリッド機、4種のデモ機を揃えて実証試験を行いました。
各1日ずつデモンストレーションを行い実数値で判断したところ、最も燃費性能が優れていたのがZH200-5Bで、これまでと同じ仕事量をこなしながら約3割の燃費低減を実現していました。その実力を見て「ZH200-5B」3台の導入を決定。同社オペレータの横畑晃稔氏からは「ZH200-5Bは前回停止時にどんなモードでエンジン停止しても、エンジン再始動時にはECOモードに戻っています。こうした機能は燃費低減にとても有益です」との感想をいただきました。

写真:アースクリエイト

デモンストレーションでは作業は常時ECOモードを使用したが、「作業量も十分で細かい作業がやりやすい」という声が寄せられた

中国での導入事例

呉江市水利市政工程有限公司様(江蘇省呉江市)

2001年に創立し、水門工事や橋梁工事などを手掛ける呉江市水利市政工程有限公司様では、現在、6台の油圧ショベルを使用しています。2016年に設備更新を行う際、そのうち1台を最新のハイブリッド油圧ショベルである「ZH200-5A」を導入いただきました。3カ月間500時間の作業を経て、従来の「ZX200-3」と比較したところ、約30%の燃費が低減でき、作業コストが大いに下がりました。
呉江市水利市政工程有限公司様からは、「10数年、日立建機の製品を信頼して使っています。
ZH200-5Aは低燃費はもちろん、操作性が良く効率的に作業できることも大きな魅力です。運転席のシートデザインも上質でオペーレータの疲労も軽減されています」との感想をいただきました。

写真:呉江市水利市政工程有限公司

従来機よりも延長した保証期間をはじめ、アフターサポートも高い評価を得ている

電動式ショベルの環境効果

日立建機では、従来の油圧技術をさらに発展させるとともに、近年信頼性が向上した電子制御技術の適用を広げ、電動式で稼働する油圧ショベルの開発にも取り組んでいます。
電動式ショベルはエンジンを搭載せず商用電源により駆動するため、現場での排気ガスやCO2が出ないことや、エンジンオイルやフィルタの廃棄物が発生しないことなど、環境面で優れた特徴を持っています。さらに商用電源のCO2 発生量をエンジン式と比較しても、10~25%※程度の削減効果が見込まれます。それと同時に、作業環境の向上、ランニングコストの低減、メンテナンスの容易性といったメリットも兼ね備えています。日立建機グループでは、油圧ショベルのほか、トロリー式ダンプトラック、リサイクル機械など多様な機種に展開しています。

※ 2015年度実績CO2換算係数(0.559~0.500kg-CO2/kwh(関東))で試算。

国内での導入事例

株式会社鈴勇商店様(宮城県石巻市)

宮城県を中心に鉄スクラップの回収・選別、切断作業を行っている地場大手の金属リサイクル会社である株式会社鈴勇商店様では、従来20トンクラスのグラップル付き油圧ショベル数台で金属スクラップの積み込み、選別、切断などの処理を行っていました。これまではトラックがヤードに到着すると作業を一度中断し、油圧ショベルをトラックまで移動させ、積み込み作業を再開していました。そこで、効率的で安全な作業を行うため、高い位置で操作・旋回ができる「電動式固定ハイポスト型マテリアルハンドリング機」を導入いただきました。
導入後はスクラップ処理が1台でこなせるようになり、動力が電動式になったことで低騒音で排気ガスを出さないなど、現場の周辺環境が大幅に改善。エンジン式に比べメンテナンス費も大幅に低減することが可能になりました。

写真:鈴勇商店

電動式で稼働するマテリアルハンドリング機。排気ガス、CO2削減にも大きな期待がかかる