持続可能な社会に向けて

日立建機グループのCSR中長期目標

世界的な環境問題の深刻化、グローバル化による格差の拡大など、世界では依然として多くの社会・環境課題があり、持続可能な社会に向けて企業に求められる役割は年々高まっています。国連は2015年9月、2030年に向けて先進国・開発途上国がともに環境、社会、経済面で持続可能な発展をめざす「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」を採択しました。また、国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)において、気候変動を抑制するための国際的な枠組みである「パリ協定」が採択され、サステナビリティに対する社会の関心が高まり、その取り組みも加速しています。
さらに投資の世界において、各国の年金基金などが投資を行う際に、従来の財務情報だけではなく、環境(Environment)、社会(Social )、ガバナンス(Governance )の側面も重要視する「ESG投資」が注目を集めています。環境や社会に配慮している企業こそ、長期的に企業価値を高めていけるという考え方が広まってきており、企業価値向上のために環境や社会課題の解決に貢献する経営戦略が一層求められています。
こうした国際動向や事業環境の変化を踏まえて、日立建機グループではCSRを「企業が持続発展するために、本業を通じて社会課題の解決に寄与し、中長期的に企業価値を増大するための手段である」と捉え、CSR中長期目標を策定しました。今後、企業を取り巻く環境・社会課題を正しく理解・分析し、「持続可能な社会の実現」を経営の最優先課題のひとつとして、CSRを推進していきます。

図:CSRロードマップ

マテリアリティの特定と8つのCSR重点取り組みテーマ

日立建機グループでは2015 年度、自社のさらなる成長をめざし、社内外のステークホルダーとともにCSR重点取り組みテーマの分析を進めました。国際社会の最新の動向を踏まえ、事業と関連が深いと考えられる40の社会課題を抽出して、「日立建機グループの事業にとっての重要性」と「社会からの日立建機グループへの期待」の観点から評価しマッピングを行いました。その結果、各課題の機会とリスクを勘案した「8つのCSR重点取り組みテーマ」を特定しました。

図:日立建機グループが検討・抽出したマテリアリティ項目のマッピング

持続可能な開発目標(SDGs)へのアプローチ

2015年9月に国連サミットで採択されたSDGsは、150を超える国連加盟国の合意による世界共通の目標です。SDGsでは持続可能な社会を実現するための重要な指針として、2030年までに達成すべき17の目標(ゴール)と169のターゲットを設定しており、企業を主要な実施主体のひとつと位置付けています。
企業がSDGsに取り組むことは企業価値を向上させるだけでなく、ステークホルダーとの関係強化にもつながります。さらにSDGsの各目標は、日立建機グループの8つの重点取り組みテーマとの親和性が非常に高いものです。そのため、日立建機グループでは、企業活動とSDGsとの関わりを整理し、自社の強みを生かした持続可能な成長戦略として検討を進めています。

SDGsロゴ
図:中長期目標の策定プロセス

■ SDGsがめざす各目標のゴール
【目標1】あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる
【目標2】飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する
【目標3】あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する
【目標4】すべての人々への包括的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する
【目標5】ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児のエンパワメントを行う
【目標6】すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する
【目標7】すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する
【目標8】包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する
【目標9】強靭(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る
【目標10】各国内及び各国間の不平等を是正する
【目標11】包摂的で安全かつ強靭(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する
【目標12】持続可能な生産消費形態を確保する
【目標13】気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる
【目標14】持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する
【目標15】陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する
【目標16】持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する
【目標17】持続可能な開発実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する

持続可能な開発目標(SDGs)へのアプローチ

日立建機グループがつくる建設機械は、鉱山での資源開発や社会インフラの整備、農業・林業・畜産業など、社会のさまざまな場面で活躍しています。そして、これらの建設機械は使用段階のみならず生産・輸送、そして廃棄に至るバリューチェーン全体で持続可能性に関する課題との関係を明らかにすることが重要になってきています。
日立建機グループでは、自社の事業がバリューチェーン全体で環境や社会にどのような影響をもたらすのか、その影響領域を把握し、それらのSDGsの目標・ターゲットとの関連を分析することで、グループにとって必要な取り組みを明確化しています。
今後、自社のバリューチェーンにおけるSDGsへの取り組みの進捗情報を開示していくとともに、さまざまなステークホルダーと協働しながら、目標達成に向けて活動を進めていきます。

図:バリューチェーンにおけるSDGsのマッピング

CSVテーマと関わりの深いSDGs目標

CSV テーマ1
グローバル環境課題の解決
SDGs13 世界の温室効果ガス排出量は増加の一途をたどり、現在では1990年と比較して50%以上増えています。日立建機はサプライヤーやお客様と一体となって環境配慮製品や環境負荷削減活動を高度化することで、グローバルな気候変動に対応していきます。
CSV テーマ2
社会基盤を支える現場力の強化
SDGs9 技術進歩は、新たな雇用機会の提供やエネルギー効率の改善など、経済面と環境面双方の課題の持続的な解決策を見出す上でも重要となっています。日立建機が創業以来培ってきた建設機械における知見と技術は、産業と技術革新の基盤を形成する上で非常に関わりの深いものです。
SDGs11 新興市場における都市の急成長は、社会基盤を支える技術者の不足など、さまざまな問題を含んでいます。日立建機では、省力化技術や現場の運営を最適化するソリューションなどを通じて、新興国だけでなく先進国における持続可能な街づくりにも貢献しています。
CSV テーマ3
コミュニティの発展への貢献
SDGs8 SDGsでは、2030年までにすべての女性と男性の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい仕事を達成することを目標としています。日立建機では、地域のニーズを的確に捉え、建設機械ビジネスを通じて、地域の雇用と開発を後押ししていきます。
SDGs17 SDGsの目標を達成するためには、グローバルなパートナーシップを活性化する必要があります。日立建機は、日立グループの総合力という強みを生かし、さらに外部機関との連携を一層強め、持続可能な社会に向けて取り組みを進めていきます。

ESG情報開示への理解と対応

近年、投資においてESGの観点で企業を評価する「ESG投資」が急速に拡大しています。ESGとは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)の頭文字を取ったもので、ESG投資は従来の財務情報だけではなく、環境や社会課題への取り組み、企業統治など非財務情報も投資の判断や意思決定のプロセスに組み込むことを重視しています。
ESG投資は2006年に当時の国連事務総長コフィ・アナン氏が責任投資原則(PRI:Principles for Responsible Investment)を提唱したことが契機となり、世界中の機関投資家が投資判断の基準として環境や社会側面を重要視するようになりました。現在では、運用資産が計60兆ドルを超える1,700以上の年金基金などの機関投資家や投資運用機関がすでにPRIに署名し、ESG投資を推進しています。
グローバル社会が抱える環境課題や社会課題の解決には中長期的視点が大切であり、日立建機グループとしてこれらの課題にしっかりと対応することで、中長期的な企業価値の創出につなげるとともに、投資家の皆様に対しESG側面での迅速で適切な情報公開に努めていきます。

図:投資家によるESG視点
図:企業と投資家を取り巻く環境の変化

SRIインデックスの組み入れ状況

ESG投資の広がりに伴い、国内外で数多くの機関が社会的責任投資(SRI:Socially Responsible Investment)評価を実施しています。SRIインデックスとは、ESGに基づき社会的責任投資の銘柄を選出する指標のことで、日立建機グループも複数のSRIインデックスに組み入れられています。

SRIインデックス